大船渡 CMプロジェクト

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大船渡 CMプロジェクト

岩手県の三陸海岸南端近くに位置する大船渡市もまた、東日本大震災で大津波(最大11.8m)により、甚大な被害を被った地域です。大船渡市の商業の中心地であったJR大船渡駅から海側のエリアは特に被害が大きく、駅舎が流出し、山側においても一部国道まで冠水するなど、都市機能が奪われました。

2011年10月に立案された「大船渡市復興計画」に沿って大船渡駅周辺の早期復興を目指す「津波復興拠点整備事業(2.3ha)」と、さらに広範なエリアの復興を目指す「土地区画整理事業(33.8ha)」において、2013年10月より東急JV※が「復興CM方式」により、設計・施工を包含する一体的業務を遂行しました。

東急建設JV:東急建設、東洋建設、植木組、日本測地設計、CPC

工事概要

工事名称

大船渡駅周辺地区震災復興事業の工事施工に関する一体的業務

工期

平成25年10月19日ー令和元年8月31日

工事場所

岩手県大船渡市大船渡町

発注者

独立行政法人 都市再生機構 岩手震災復興支援本部

請負者

東急・東洋・植木・日本測地・CPC
大船渡市大船渡駅周辺地区震災復興事業 共同企業体

工事概要

施行地区面積/36.1ha
津波復興拠点事業/2.3ha
土地区画整理事業/33.8ha
盛土工・道路工・舗装工・公園工・排水工・公共下水道、防災仮設工、構造物撤去工 他

CM方式について

複数の事業を大括りし、計画調整等のマネジメント・設計・施工をコンストラクションマネージャー※(CMR)にまとめて発注する方式です。大括り発注で契約手続きが簡略化されることに加え、CMRがさまざまな工夫を凝らすことにより、工事期間の短縮が可能になります。また、契約にはコストプラスフィー契約およびオープンブック方式を採用。適正な受注者利益と支払いのプロセスを透明化することで、地元企業の参入を確保。民間の技術ノウハウを活用した効率的な施工ができるだけでなく、地場産業育成にも寄与します。

一般的な発注方式とCM方式の比較

コンストラクションマネージャー…建設プロジェクトにおいて、発注者側に立って、設計の検討、工程・コスト管理等の各種マネジメント業務の全部又は一部を行う事業者

新たな発注システム(具体例)

  • コスト(業務原価)プラスフィー契約の導入により、事業規模変動や物価高騰にも柔軟に対応
  • オープンブック方式(受注者の支払情報開示等)により、コスト情報の透明性・妥当性を確保
  • 地元企業の優先活用による施工体制の構築

CM方式のメリット

  • 早期の段階からの民間事業者の参画により、施工や調達ノウハウを反映でき、工期短縮・コスト縮減等に貢献
  • ファストトラック方式(設計が完了した部分から順次工事を開始する方式)により、契約手続期間を含む全体事業期間が短縮
  • エリア内で関連するインフラ事業のトータルコーディネートにより、効率的な事業推進が可能
  • 事業規模変動や物価高騰にも柔軟に対応できるため適正な利益の確保が可能
  • 不足する発注者のマンパワーを補完

第一期まちびらき、
そして竣工へ

東急JVでは、復興CMで特徴的なファストトラックによって、工程の確保に努めました。工事内容としては、主に事業区域内の土地の嵩上げ(2~3mの盛土)を行い、新たにライフラインの設置と宅地造成を行い、被災地権者に随時引渡しを行っていきました。2015年度には、早期整備エリアを含む津波復興拠点区域の整備が終了。2016年3月12日にはJR大船渡線BRT(バス高速輸送システム)の専用道完成と、当該区域のトップを切る大船渡プラザホテルの開業を祝して、「第1期まちびらき」の式典が行われました。続く4月には大型ホームセンターが、6月には大型スーパーマーケットがオープンし、9月には災害公営住宅も竣工しました。2017年4月にはキャッセン大船渡、翌2018年には、当社建築で施工の行政施設もオープンしました。2019年3月末には工事は完了し、4月27日に竣工式(第4回まちびらき)を執り行いました。

復興土地区画整理事業の概要

「線」による防御から、「面」による減災へ

  1. L1津波※に対しては「湾口防波堤」と海側に設置した「防潮堤(海抜7.5m)」で防御する
  2. L2津波※に対しては、「多重防御」による減災を図る

海側からJR大船渡線までを海抜3mに、JR大船渡線から山側を海抜5mに嵩上げする。
「L1防御」で緩衝し、海側からJR大船渡線までの「面」の防御で減災する。面にあたる部分の住居は全撤去する。

  • L1津波:過去数十年から数百年の頻度で発生している津波
  • L2津波:東日本大震災クラスの津波

大船渡駅周辺地区の「多重防御」策とまちづくり

  1. JR大船渡線を含む山側を海抜5m以上に嵩上げし、このエリアに「安全な住宅地」を整備する。
  2. JR大船渡線から海側については、「災害危険区域」に指定し、「居住を制限した商業業務地」を整備する。「津波復興拠点整備事業」により指定区域内の用地を大船渡市が取得して早期整備し、商業事業者に賃貸する形で商業の早期再生を図る。
  3. これらの土地区画整理事業については、地権者のさまざまな意向を踏まえた申出換地(買取り等のオプションを含む土地の権利移動)を行う。

今回紹介した「大船渡市大船渡駅周辺地区での復興事業」では、大震災で被害を受けた被災地の復興が、復興CM方式を用いたことにより、計画通り完了することが出来ました。今回の業務で力を発揮した「復興CM方式」は、新しいビジネスモデルとして今後もその発展が期待されるところです。
このような新しいビジネスモデルに果敢にチャレンジし、蓄積されたノウハウは、当社グループにとって、将来の環境変化にともなう発注方式の多様化等を見据えた貴重な知見になると考えています。

2019年3月末 工事完了時