東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏)は、山岳トンネル工事において、掘削後の地山崩落・変形を防ぐための支保部材ロックボルト打設(以下、「RB工」)の省人化・省力化に向けた実証を国土交通省近畿地方整備局発注の「有田海南道路1号トンネル工事」において実施しました。施工機械・材料・ICT機器を組み合わせた省人化・省力化パッケージ(以下、「省人化・省力化技術パッケージ」)を導入した結果、RB工の作業編成人員を約40%削減※1するとともに、切羽内への立ち入りを不要とする運用を確立し、安全性の大幅な向上を確認しました。
【実証の概要】
本実証では、以下の要素を組み合わせ、施工および施工管理の両面で省人化・省力化を図りました。
<今回使用した製品・技術>
【実証の背景】
山岳トンネル工事において、掘削直後の切羽(掘削面)付近は、岩石の落下(肌落ち)等による災害リスクが高く、作業員の安全確保が最重要課題となっています。なかでもRB工は、切羽付近での作業が集中する工法であり、穿孔位置のマーキング、長尺・重量物であるロックボルトの高所での挿入、約20kgのモルタル袋の投入など、危険や負担を伴う人力作業が繰り返し発生します。また、引抜試験機等の重量物を用いた品質確認作業においても、高所作業が発生するなど、管理面での負荷も大きい状況です。
建設業界全体で担い手不足が深刻化するなか、当社は安全性の確保と生産性の向上を両立する施工技術の確立を急務と捉え、RB工の省人化・省力化に取り組みました。
【得られた効果】
「省人化・省力化技術パッケージ」を使用して、切羽範囲内におけるRB挿入・モルタル充填・ナット緊結などの作業を機械化・簡略化したことにより、以下の効果を確認しました。
<施工>
・RB工の作業編成人員を約40%削減※1
・切羽近傍への作業員の立ち入りを不要とする運用を確立し、安全性を大幅に向上
・RB1本当たり(L=3.0m)の作業時間は標準並み※2。所定の出来形の精度・品質も確保※3
※1 標準5名(OP2名、作業員2名、モルサポ操作1名)を3名(OP2名、モルタル自動供給システム操作1名)で実施
※2 国土交通省土木工事標準積算基準との比較
※3 協議出来形管理基準の50%以内、引抜試験全数合格
本実証では、2ブームそれぞれにオペレーター(以下、「OP」)を1名ずつ配置し施工を行いました。操作習熟後は、一方のブームが自動穿孔中に他方ブームで位置合わせ・モルタル注入を並行実施することが可能となり、OP1名による2ブーム同時運用でRB工の全工程を完結できる見通しを得ました。加えて、本パッケージではナットを用いないRBを使用しましたが、標準のRBを使用した場合においても、穿孔からRB挿入までを同編成で機械化・省人化し、切羽への立ち入りを排除できることも併せて確認しました。
また、OPが運転席からモルサポのタブレット端末を介してモルタル自動供給システムを遠隔操作することで、同システムの専任操作員を不要化できることも確認しました。これらにより、標準編成5名から最終的にOP1名への80%の省人化が実現できる見通しを得ました。
<施工管理>
・軽量化・コンパクト化されたICT試験システムにより編成人数を50%削減※4
・品質管理記録作成時間の短縮
※4 狭隘な高所作業車バスケット上で実施していた計測作業人員 標準2名を1名で実施
また、「ボルティンガー」を活用することにより、今後は穿孔データを用いた出来形調書の自動作成によるさらなる省力化へ向けて取り組む予定です。
【今後の展望】
当社は安全最優先を掲げ、安全・品質確保や生産性向上に資する自動化・省力化技術の獲得と実用化を推進しています。今後は、今回の実証で得られた知見をもとに適用条件を整理し、実績を積み上げながら現場への実装を加速していきます。引き続き、切羽危険作業ゼロの実現と建設業の担い手不足への対応を両輪として、安全・生産性の両面から山岳トンネル工事の高度化に取り組んでまいります。安全で働きやすい現場づくりを通じて、建設業の持続可能な成長に貢献します。
【関連リリース】
切羽危険作業ゼロを目指し、「トンネル支保工誘導システム」を導入(2026年1月19日)