東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏)は、Matterport(マーターポート)※の3Dスキャンカメラ「Matterport Pro3」(360度カメラ・高性能LiDARセンサー搭載)と3DデジタルツインAI合成処理クラウド「Matterport Cloud」で取得した現地の3Dウォークスルー画像データに、計画中の3Dモデル(BIM/CIMモデル)を重ね合わせて閲覧できる統合システムを独自に開発しました。
現況の3D空間と将来の計画モデルを同一画面上で比較できる点が特長で、Matterportの3D画像とBIM/CIMモデルを統合するシステムとしては国内初の取り組みとなります。現在、東京メトロ銀座線渋谷駅や東武鉄道とうきょうスカイツリー駅など、土木・建築の全国10カ所の現場で試行運用を行っています。
1.開発の背景
建設業界では、2024年4月の時間外労働上限規制の適用を契機として、生産性向上とデジタル技術を活用した業務変革が加速しています。当社は、この変化を生産システム革新の好機と捉え、その一環として、現地に赴かずに遠隔から状況を確認できるツールとしてMatterportを活用してきました。しかし、従来の機能では現況の把握にとどまり、完成形や仮設計画の3Dモデルを重ねて検討することは困難でした。
今回開発した統合システムにより、現地の3Dウォークスルー画像とBIMデータ等による計画モデルを一体化して表示できるようになり、施工計画の精度向上や関係者間の合意形成の迅速化を実現します。
2.本システムの主な特徴と導入メリット
本システムは、Matterportのウォークスルー機能※を活用し、現場を歩くような感覚で3D空間を移動しながら設計モデルを重ねて確認できるほか、ドールハウスビュー機能※で建物等を俯瞰した視点でも確認できます。主なメリットは以下のとおりです。
(1)施工前段階での干渉検討の高度化による手戻り防止
現地の詳細な3D画像と設計・計画モデル(BIM/CIM)を重ね合わせることで、2次元図面では把握しにくい既存構造物との干渉や制約を事前に確認・修正できます。これにより、施工段階での手戻りを防止し、施工品質の向上と工期短縮につながります。
(2)専門知識に依存しない直感的な情報共有
図面情報を直感的に共有できるため、工事の進捗や完成イメージを視覚的に把握しやすくなります。これにより、発注者や関係行政機関、地域住民の方々とのコミュニケーションが円滑になります。
(3)遠隔地からの多角的な施工計画検討
PCやタブレット端末から、場所を問わずさまざまな角度から現場状況と計画を照合できます。現場監督の移動負担の軽減と業務効率化に貢献します。
3.現場での活用事例
東京メトロ銀座線渋谷駅や東武鉄道とうきょうスカイツリー駅の施工現場では、施工段階や完成イメージを現場内外で分かりやすく確認でき、計画モデルと重ねて提示することで既設構造物等との整合性検証や計画の精緻化を実現しました。これにより、説明の説得力が高まり、発注者や行政機関、近隣住民の方々との協議・調整において、スムーズな合意形成に寄与しています。
4.今後の展望
当社は、本システムの初期版の運用を通じて得られた知見をもとに、さらなる機能改善を進めていきます。今後は、国土交通省のBIM/CIM適用工事における義務項目・推奨項目での活用による効率化を推進し、土木分野での活用をさらに広げるとともに、建築現場や不動産事業への展開を図り、建設業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進と、労働力不足や長時間労働といった社会課題の解決に貢献してまいります。
※Matterport は、Matterport, LLC.の登録商標です。Matterportの機能の詳細はMatterport公式サイト(https://matterport.com/ja/)をご参照ください。