東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏、以下当社)と、株式会社小川優機製作所(神奈川県横浜市、社長:小川壮一)は、棒状バイブレータによるコンクリートの締固め時間と挿入深さの管理を補助する「締固め管理センサ」※を共同開発し、このたび深礎杭コンクリート工事で初適用しました。
コンクリート構造物の基礎工事では、型枠内の生コンクリートにバイブレータを差し込んで振動を与えることで、余分な気泡を除去し、コンクリートを均質化する「締固め」作業を行います。本作業では、コンクリートの強度や耐久性を損ねる空洞ができないよう、バイブレータの挿入深さと振動させる時間を管理することが重要です。
「締固め管理センサ」は、専用の距離計によってコンクリート表面から「締固め管理センサ」までの距離を測定し、目標とする挿入深さに到達した時点から締固めに必要な時間を正確にカウントするものです。個人差のある感覚や経験値によらない、適正な深さと時間の"見える化"を実現した「締固め管理センサ」は、コンクリート締固め作業の効率化と生産性向上に寄与します。
当社では、和歌山県すさみ串本道路鬮野川(くじのかわ)PP3下部他工事(令和5年6月完成)の深礎杭コンクリートの打込みで初適用しました。深基礎コンクリート工という、地下水の排水処理を行いながらコンクリートを打ち込む、センサ(電子機器)にとって厳しい環境下でも正常に動作し、締固め管理作業の補助が可能であることを実証できました。
今後も当社は、独自技術である「締固め管理センサ」をコンクリート工事のDXにつなげ、さらなる品質確保および合理化・省力化に活用してまいります。
※「締固め管理センサ」は、東急建設と小川優機製作所の登録特許です。(特許第7210870号)
・棒状バイブレータの挿入深さは、「締固め管理センサ」の取り付け位置を変えることで任意の深さにかえることができます。
・締固め時間は、コンクリートの性状に合わせて、「土木学会コンクリート標準示方書 [施工編]」のみなし規定である5~15秒に設定可能です。
・あき寸法70mm以上であれば滞りなく配筋・型枠内に挿入できます。
・電源は充電式バッテリーのため、配線の煩わしさはありません。
・外装は鋼製であり耐衝撃、防塵・防滴機能を有しています。
「締固め管理センサ」は、棒状バイブレータが所定の深さまで挿入されるとLEDランプの点滅、締固めが完了するとLEDランプの点灯で作業者に通知("見える化")する機能を備えており、フレキシブルホース部分であれば、一般的にリース可能ないずれの棒状バイブレータにも装着可能です。挿入深さや締固め時間はコンクリートのフレッシュ性状に合わせて設定できます。
■「締固め管理センサ」開発の背景
従来、コンクリート工の締固め作業では、棒状バイブレータの挿入深さと1箇所あたりの締固め時間について、「土木学会コンクリート標準示方書[施工編]」に示される一般的なコンクリート構造物の品質確保に必要なみなし規定の数値を、アナログな方法と感覚で管理していました。しかし挿入深さ管理のためにフレキシブルホースにマーキングをした場合、マーキング位置が先端ではコンクリートが被ってマーキングが見えなくなること、マーキング位置が配筋天端では部材厚さによってマーキングが煩雑となることがあります。また、締固め時間を作業者のカウントで行うと、カウント速度に個人差が生じる場合もあります。
このような、品質を確保するための施工プロセスを、アナログな方法と感覚だけでは一律に管理できないという締固め工程の課題を解決するため、「締固め管理センサ」は開発されました。