電気炉酸化スラグ細骨材を使用した環境配慮型コンクリート 「E-PEC」でJIS認証を取得

 東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏、以下当社)は、関東宇部コンクリート工業株式会社「溝の口工場」(本社:東京都品川区、社長:嶋津成昭)と共同で、電気炉酸化スラグ細骨材1を用いた環境配慮型コンクリート「EPEC2JIS認証を取得しました。
 
 「EPEC環境配慮性に加え施工性や耐久性等の面でも性能向上が見込めるコンクリートであることから今後の幅広い活躍が期待できます。同工場からコンクリートの供給を受けるすべての建設会社で採用できるようJIS認証を取得したことを機にコンクリート分野で抱える課題解決に貢献してまいります。

EPEC の概要】  
 「EPEC」は天然資源である砕砂等の代替材として電気炉酸化スラグ細骨材を使用することで、骨材天然資源の保護に貢献します。また、強度を確保した上でセメント使用量を低減できるため、COの削減(最大約10%)にも貢献する環境配慮型コンクリート(資源保護・低炭素です。
 さらに電気炉酸化スラグ細骨材の粒子形状は球形であることから、コンクリートの流動性が向上し施工性が改善することに加え、単位水量も低減できるため乾燥収縮の低減(ひび割れ低減)や中性化の抑制等の高耐久化が望めます。建物の部位ごとに要求される施工性や耐久性に応じた最適な骨材使用率を調整することで、最適なコンクリート品質の確保を可能としています


e-pec.jpg 電気炉酸化スラグ細骨材             一般的な骨材(砕砂)  


開発の背景
 世界的な脱炭素・循環型社会の形成が加速する中、建設業と深く関わりのある製鋼業界において、鉄鉱石等の天然資源を原料とし多くのCOを排出する高炉製法から、鉄スクラップ(廃棄物)を原料としCO排出量を1/4程度にすることができる電炉製法への転換が注目されています。
 当社では、長期経営計画において提供価値として掲げる「脱炭素」「廃棄物ゼロ」の観点から、電炉製法の副産物である電気炉酸化スラグ細骨材を主成分とした先送りモルタル代替材「サスタル」3を開発するなど利用用途を拡大してきました。「EPEC」はこの一環として2018年に開発を開始しました。

【今後の展望】  
EPEC電気炉酸化スラグ細骨材の活用によるコンクリート分野での直接的な環境貢献だけでなく、その発生源であり、環境負荷の小さい電炉製法の普及を後押しすることによる鉄鋼分野での間接的な環境貢献に寄与することができるコンクリートです。また施工性・耐久性にも優れており複数の採用メリットがあることから関東宇部コンクリート工業溝の口工場では、当社のみならず、当社以外の建設会社でも採用できるように供給を開始する予定です。
 当社は「脱炭素」「廃棄物ゼロ」の実現に向けて、「EPEC」の社内活用を推進すると共に、建設業界が一丸となってこれら目標に取り組めるよう同技術の業界普及を目指してまいります。

1 電気炉酸化スラグ細骨材:電気炉で溶鋼と同時に生成する溶融した酸化スラグを高圧空気で飛散させ瞬間的に凝固させたもの(風砕方式)。本コンクリートでは、株式会社星野産商「田原工場」(本社:愛知県弥富市、社長:星野泰相)にて製造される細骨材を使用。

2 「EPECイーペック:本技術の主要な材料である電気炉酸化スラグ細骨材(E)によって得られるコンクリート(C)の環境配慮性(E)および基本性能(P)の向上のそれぞれの頭文字からの造語(商標出願中)Electric arc furnace oxidizing slag fine aggregateimprovement of basic Performance and Environmentally friendly in Concrete

3 CO 排出削減率 70以上、副産物の有効利用率90%以上の先送りモルタルの 代替材 「サスタル」を 開発・初適用(2021106日リリース)

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