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人と自然の共生を目指す
ビオトープ型屋上緑化システムを開発
2000.12.12

東急建設鰍ヘ、褐と風の研究所並びに東急グリーンシステム鰍フ協力を得て、メダカなどの水生小動物が生育可能な池を組み合わせたビオトープ型屋上緑化システムの実用化に目処をつけた。現在、東京都渋谷区の「渋谷マークシティ」(H=100m、24F)屋上に本システムを設置し、超高層ビルの環境下で施工した際の実証試験を行っている。


【開発の経緯】

近年、都市部における環境問題として、郊外に比べて都市部の気温が高くなるヒートアイランド現象あるいは、とんぼやメダカの消失といった豊かな生態系の消滅などが上げられる。その対策としては緑地保全が有効と考えられているが、人口の集中した都市において地上で緑地を増やすことは現状において不可能に近い。そこで、都市に多く存在するビルの屋上を緑化することが、それらの解決に有効な手段の一つとして考えられている。行政でも、東京都が本年4月より、民間で1,000u以上のビルの新築・改築を行う際には、屋上の20%を緑地とした計画書の提出を求めている。

初期の屋上緑化システムは植生基盤に自然土を使用したため、屋根にかかる荷重が大きいことが問題であった。そのため、近年では荷重を軽くすることを目的に、人工軽量土壌の使用、植生基盤の薄層化、潅水システムを省くため乾燥に強い植物を使用するなどの方向に技術開発が進んだ。その最終形として、サボテンの仲間であるセダムを使用したセダム緑化が実用化されている。セダム緑化は軽量、雨水のみで生育するなどの利点があるが、セダムしか使用しないため彩りに乏しく、豊かな生態系とは言い難い。

そこで当社は、屋根の耐荷重より軽く、豊かな生態系を持つビオトープ型屋上緑化の開発を進めるため、当社技術研究所(神奈川県相模原市)の屋上に実証用のビオトープ型屋上緑化を設置し、温度計測などを行ってきた。



【概要】

ビオトープ型屋上緑化は、植物とメダカなどの水生小動物の生育可能な池を組み合わせて水辺の生態系を付加した屋上緑化である。池に極微小な気泡を発生させることができるマイクロバブルシステムで溶存酸素を高めることにより水生生物の生育が可能となり、植物の繁茂にも好結果を得ている。また、浮葉植物により水温の上昇を抑える効果があることも確認している。水深は屋根の耐荷重を考慮して決定するが、一般的な屋上の場合、水深は15cm〜20cm(150kg/u〜200kg/u)程度となる。

緑化部分には池から自然に潅水される工夫がしてあり、ローメンテナンスで湿地を好むミソハギなどの植物も生育可能で、植物種の選択の幅が広いのが特徴である。池に雨水を貯留し潅水に利用することから、雨水の有効利用ならびに排水調整としての遊水池など幅広い利用が考えられる。

夏期における温熱環境の実測結果からの計算によると、屋上にビオトープ型屋上緑化システムを設置した建物では、コンクリートのみの場合と比べて、屋上から室内に流入する熱量は約80%、輻射量は約20%減少し、省エネルギーとともにヒートアイランド現象の抑制に効果的である。


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渋谷マークシティ屋上施工状況
技術研究所屋上施工状況


【特 長】

1.マイクロバブルを用いることによりメダカなどの水生小動物が生育し、世代交代するビオトープを屋上に構築する。
2.ビオトープのある屋上を数多く整備し、有機的な繋がりを持たせることで、都市にビオトープネットワークを構築して自然の回復を図る。
3.屋根の耐荷重からタブー視されていた屋上への池の設置を、水深を浅くして池の荷重を減らすことで可能にした。
4.植物には池から自動的に水が供給されるため、潅水手間が不要である。
5.池から水が豊富に供給されるため、ミソハギなど湿地に生息する色彩の鮮やかな植物を植えることが可能である。


【渋谷マークシティにおける実証試験の概要】

実証期間 2000年12月〜2001年8月
主な目的
@風の強い高層建築物でのビオトープ実現の可能性を検証(土埃の飛散・土の流出によるドレーン等の詰まり)
A 既存の超高層建築物における屋上緑化の施工性の検討
B 屋上緑化への雨水利用の検討
C メンテナンスの検討
D 日陰地の屋上緑化における植物育成調査(使用植物シャガ、ノシラン、ヤブラン、キチジョウソウ、ヤブコウジ、タマリュウ−−−いずれも多年草)


【今後の展開】

これからの社会は、都市生活においても人間と自然の調和がとれた持続可能な環境を構築していくことが必要とされます。東急建設はそういった社会を実現する技術の一つとして屋上緑化を位置づけており、ビオトープ型屋上緑化以外にも自然との触れ合いや災害対策などをテーマにした種々の屋上緑化を開発中です。これらの屋上緑化システムによって、施主からの様々な要望、建築条件に応じた屋上緑化を提案できることを目指しています。


【本件に関する問い合わせ先】

 
東急建設株式会社
経営企画室広報担当 下原
E-mail:webmaster@tokyu-cnst.co.jp

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