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リサイクルコンクリートによる過去最大規模の施工
国内で初めて構造体にも適用
1999.11.02

東急建設鰍ヘ、大阪府下で行われている共同住宅の建設工事において、建設廃材から製造した粗骨材(再生粗骨材)を用いたコンクリート(リサイクルコンクリート)を国内で初めて現場造成杭に採用しました。また、同敷地内の駐車場ピットにも併せて採用し、リサイクルコンクリートとしては過去最大規模となる約3,800m3の施工を実施しました。高品質な再生粗骨材を使用し、(財)日本建築総合試験所の技術的な支援を受けて各種の高度な品質管理試験を導入することにより、今回の施工が可能となりました。

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再生された骨材


【開発の背景】


建設構造物より排出される解体ガラは、平成5年度で約3,700万トン(国民一人あたり 約350kg)に達しています。この量は年々増加する傾向にあり、解体ガラを有効に利用することは、「環境共生型社会」を構築する上で必要不可欠です。このため、建設省を中心としたプロジェクト*が平成4年度より5年間にわたり実施され、再生骨材の品質区分案(表1)及び用途の基本(表2)が作成されました。
*建設省総合技術開発プロジェクト「建設副産物の発生抑制・再生利用技術の開発」

表1 再生骨材の品質区分案
再生粗骨材 再生細骨材
1種 2種 3種 1種 2種
吸水率(%) 3以下 5以下 7以下 5以下 10以下

表2 再生骨材コンクリートの種類と用途の基本
区分 再生粗骨材 細骨材 用途
A 1種 普通細骨材 一般のRC建築物および下記B,C,D
B 2種 普通細骨材 土に接する基礎および下記C,D
C 2種 再生細骨材1種 土に接する床スラブ(ひび割れ防止等のため
鉄筋が入ることがある)および下記D
D 3種 再生細骨材2種 無筋の非構造体

【概要】

本工事はこのプロジェクトの成果に基づくものであり、リサイクルコンクリートの種類としては表2における区分Aを使用した。ただし、このコンクリートを実際に使用する上で必要な再生粗骨材及びそれを用いたコンクリートの品質管理手法は、現時点では確立されていません。
そこで、東急建設では(財)日本建築総合試験所の技術的な協力・支援を得て、リサイクルコンクリートの一貫した品質管理計画を立案し、施工を実施しました。


【特長】

本工事では、通常のコンクリートでは行わない以下に示す品質管理を実施しています。
  1. 解体ガラのアルカリ骨材反応*1の目視及び一部試薬による検査
  2. 統計理論に基づく1日6回の頻度の骨材試験
  3. 骨材吸水率の迅速試験*2
  4. RI(ラジオアイソトープ)法*3による生コンクリートの単位水量の検査〔技術開発:(財)日本建築総合試験所〕
  5. 打設後10年間にわたる杭鉄筋の健全度モニタリング*4〔鉄筋健全度モニタリングの技術開発:(財)日本建築総合試験所〕
上記の品質管理手法は、既存の試験方法ではなく、本工事のために独自に開発されたもの及び最新の技術として開発された技術です。これらを導入することにより、再生粗骨材が製造される段階から構造体として供用された後までの一貫した品質管理を実践しました。
この工事では、約3,600トンの建設廃材が躯体として再利用されたことになります。


*1:アルカリ骨材反応を生じたガラを再生骨材として用いると、リサイクルコンクリートにも同様の反応が生じる可能性があります。解体ガラの検査はこれを水際で防ぐために実施します。
*2:表1にあるように、吸水率は再生骨材の品質を左右する指標です。工程管理上、この品質を1日で把握する必要があり、迅速試験を考案しました。
*3:RI法−生コンクリートに中性子線を照射することにより、コンクリートの品質に大きく影響する単位水量を測定する方法です。(財)日本建築総合試験において開発された技術で、中性子が水素によって減衰する性質を利用し、減衰する中性子の数から水量(コンクリートでは水素はほとんど水に存在する)を逆算します。
*4:鉄筋は腐食すると、その腐食度合いによって電気抵抗値が変化します。鉄筋に電流を定期的に流し、その抵抗値の変化を見ることにより、目視することのできない杭鉄筋の健全度合いを把握します。(財)日本建築総合試験所で開発された技術です。


【実績】

国内においてリサイクルコンクリートが構造体に利用された例としては、都内公的機関敷地内において試験的に建設されたもの(鉄筋コンクリート造2階建て)がありますが、実構造物に使用したのは今回が初めてです。また、一プロジェクトにおけるリサイクルコンクリートの打設量としては、世界都市博覧会施設建設工事(建設途中で中断)の基礎部分などにおける約3,300m3がこれまでの最大打設量でしたが、今回の工事はこれをも上回っており過去最大規模となります。


【今後の展開】

東急建設では、「快適な地球環境の保全に全力をあげて努める」ことを環境に対する基本理念として取り組んでいます。
 今後、建設廃材の増加が予想される中、今回の工事はリサイクルコンクリートが21世紀の建設材料のスタンダードとなり得ることを端的に示しています。東急建設は今後もリサイクルコンクリートの使用を積極的に推進し、「環境共生型社会」の構築に寄与すべく、さらなる技術開発を推進する予定です。

資料(pdfファイル)



【本件に関する問い合わせ先】

 
東急建設株式会社
経営企画部広報担当 下原
E-mail:webmaster@tokyu-cnst.co.jp

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