2026.07.09
建設DX実験フィールドで遠隔施工を実証!ドローン活用で災害復旧はどう変わる?
目次
当社は、国土技術政策総合研究所(以下、国総研)の建設DX実験フィールドで、遠隔施工の生産性向上を目的とした実証実験を実施しました。場所は茨城県つくば市、時期は2026年2月です。実験では、バックホウ2台とキャリアダンプ1台を使用しました。従来の遠隔施工で用いられている移動カメラ車による映像を提供する方式と、2台のドローンで俯瞰映像を提供する方式を比較し、視認性や操作性の違いを確認しています。さらに、クラウドを利用した通信方式とローカル無線LANも比較し、災害復旧工事の現地条件に合う通信技術の選び方を検証しました。今回の実験では、ドローン活用により遠隔施工の視認性と生産性を高められる可能性が確認されました。
災害復旧工事で遠隔施工が求められる背景
近年は、地震や豪雨などによる大規模災害が各地で発生しています。災害復旧工事では、地盤のゆるみや崩落、余震などにより、作業中に二次災害が起きる危険があります。遠隔施工は、作業員が現場から離れた安全な場所で建設機械を操作できるため、危険な場所での直接作業を減らせます。特に災害直後の復旧現場では、安全を確保しながら早期復旧を進める技術として重要です。今回の実証実験では、ドローンの俯瞰映像を活用することで、安全にかつ迅速に遠隔施工が実施できる可能性を確認しました。
建設業界の人手不足と遠隔施工への期待
建設業界では、熟練作業員の高齢化や若手労働者の減少により、人手不足が大きな課題になっています。災害復旧工事では早急な対応が求められるため、限られた人材をいかに有効に活用するかが重要です。遠隔施工は、現場までの移動時間を減らし、離れた場所から建設機械を操作できる点が特徴です。将来的には、複数現場の管理や支援にもつながる可能性があります。一方で、通常の有人施工に比べると作業効率が下がりやすい課題もあります。そのため今回の実証実験では、視認性を高めることで遠隔施工の生産性を向上できるかを検証しました。
実証実験の場所・時期・使用機械
今回の実証実験は、茨城県つくば市にある国総研の建設DX実験フィールドで実施しました。実施時期は2026年2月です。遠隔操作室と施工フィールドを分け、実際の遠隔施工に近い環境で検証を行いました。使用した建設機械は、バックホウ2台とキャリアダンプ1台です。バックホウのうち1台は、従来方式との比較に用いるため移動カメラ車として運用しました。遠隔施工では、施工に使う機械だけではなく、現場の状況を確認するための映像取得方法も重要な技術です。実験では、遠隔施工に必要な視認性と機械操作のしやすさを確認しています。
実証実験の様子は、以下の動画でもご確認いただけます。
遠隔操作室から建設機械を操作する様子や、施工フィールドでの機械の動き、ドローンによる俯瞰映像の活用イメージを通じて、今回の実験内容をより具体的にご覧いただけます。
移動カメラ車方式とドローン活用方式の違い
今回の実証実験では、従来方式である移動カメラ車方式と、新方式であるドローン活用方式を比較しました。移動カメラ車方式は、バックホウに俯瞰カメラを搭載し、施工状況を確認する方法です。一方、ドローン活用方式では、2台のドローンを使って上空から俯瞰映像を提供しました。上空の自由な位置から撮影できるため、建設機械の位置関係や周囲の状況を把握しやすくなります。遠隔施工では、オペレーターが映像を見ながら操作するため、視点の違いが作業のしやすさに直結します。今回の比較により、作業内容に応じた映像の見せ方が生産性に影響することを確認しました。

2台のドローンによる俯瞰映像の提供
ドローン活用方式では、2台のドローンを使って施工フィールドの俯瞰映像を提供しました。遠隔操作室のオペレーターは、その映像を確認しながら建設機械を操作します。ドローンを使うことで、地上のカメラでは見えにくい範囲や、建設機械同士の位置関係を把握しやすくなります。災害復旧工事のように現場条件が変化しやすい場面でも、上空からの映像は状況確認に役立ちます。今回の実験では、ドローン映像が遠隔施工の視認性向上に有効である可能性を確認しました。
通信方式の違いによる操作性の確認
今回の実証実験では、ドローン映像の活用に加えて、通信方式の違いによる操作性も確認しました。比較したのは、ARAV株式会社のクラウドを利用した通信方式と、西尾レントオール株式会社のローカル無線LANを利用した通信方式です。災害復旧工事では、現場の通信環境が安定しているとは限りません。そのため、現地条件に合わせて通信技術を選ぶことが重要です。今回の検証では、災害復旧工事の状況に応じた通信方式の選定方法について、妥当性を確認しました。
実証実験で確認された生産性向上の可能性
今回の実証実験では、ドローンを活用した新方式が、従来の移動カメラ車方式に比べて生産性向上につながる可能性を確認しました。遠隔施工では、オペレーターが映像を見ながら操作するため、現場を把握しやすい映像が作業効率に影響します。ドローンによる俯瞰映像は、施工範囲や建設機械の位置関係を確認しやすく、操作判断を助ける役割が期待できます。今回得られた知見は、災害復旧工事で安全性と生産性を両立する遠隔施工の実用化に向けて重要な成果です。
速さ重視と精度重視で異なる最適な映像
今回の実証実験では、作業の種類によって適した俯瞰映像が異なることも確認しました。たとえば、速さを重視する作業では、施工範囲全体や機械の動きを広く把握できる映像が役立ちます。一方、精度を重視する作業では、作業箇所や建設機械の先端の動きが分かりやすい映像が必要です。遠隔施工では、映像の角度や距離が操作のしやすさに大きく関わります。そのため、作業内容に合わせてカメラ配置や映像の見せ方を変えることが、生産性向上の重要なポイントになります。従来方式ではカメラを重機に搭載しているため、画角の調整には制約がありました。一方、ドローン方式は作業エリア内をある程度自由に飛行できるため、カメラ配置や映像の見せ方の最適化という点で優位性があります。

カメラ配置以外に見えた生産性低下の要因
今回の実証実験では、カメラ配置だけでなく、遠隔施工の生産性を下げる可能性がある要因も確認しました。遠隔操作では、映像の見やすさに加えて、通信の安定性や映像の遅れ、操作する機械との位置関係などが作業効率に影響します。特に災害復旧工事では、現場環境が通常の施工現場より不安定になりやすいため、複数の条件をふまえた検討が必要です。今回得られた知見をもとに、より安全で効率的な遠隔施工の実現に向けて改善を進めていきます。
災害復旧工事への適用に向けた今後の展望
今回の実証実験で得られた知見は、地震や豪雨などの大規模災害後に行う復旧工事への活用を見据えたものです。二次災害の危険性が高い場所でも、遠隔施工を使うことで、作業員が現場から離れて建設機械を操作できます。当社は、ドローン映像による視認性向上や通信方式の選定方法をさらに検討し、遠隔施工技術の改善を進めていきます。今後も、作業員の安全確保と建設現場の生産性向上を両立しながら、建設DXの推進と社会インフラの強靭化に貢献してまいります。
まとめ
災害復旧工事では、二次災害の危険がある現場で作業員の安全を守りながら、早期復旧を進めることが求められます。遠隔施工は、現場から離れた場所で建設機械を操作できるため、安全確保に役立つ技術です。今回、当社は
建設DX実験フィールドで、ドローンを活用した遠隔施工の実証実験を行いました。その結果、2台のドローンによる俯瞰映像が視認性を高め、生産性向上につながる可能性を確認しました。あわせて、作業内容に応じた映像の見せ方や、現地条件に合う通信方式の選定も重要であることが分かりました。当社は今後も、遠隔施工技術の改善を進め、作業員の安全確保と建設現場の生産性向上を両立しながら、建設DXの推進と社会インフラの強靭化に貢献してまいります。