2026.06.30
物流業界の課題とは?人手不足・輸送効率・BCP・環境対応を解決する物流施設の考え方
目次
物流業界では、人手不足、輸送効率の低下、拠点の分散・老朽化、災害時の事業継続、環境対応など、複数の課題が同時に進んでいます。物流会社や荷主企業で物流拠点の見直しを担当している方のなかには、「今の倉庫や配送体制のままで、これからの物量や人員不足に対応できるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に「物流 人手 不足」「物流 業界 人手 不足」は、現場の作業効率や配送体制に直結する重要なテーマです。人を増やすだけでは解決が難しい場面も多く、少ない人数でも運用しやすい施設づくりや、輸送効率を高める立地選定、災害時にも止まりにくい設備計画などを一体で考える必要があります。
物流拠点は、単に荷物を保管する場所ではありません。入出庫、保管、仕分け、出荷、配送までを支える事業基盤です。そのため、施設の広さや賃料だけで判断するのではなく、将来の物量変化、自動化設備への対応、トラック動線、BCP、環境負荷の低減まで含めて検討することが大切です。
当社は、物流施設を含む建築実績を通じて、さまざまな事業課題に向き合ってきました。本記事では、物流業界が抱える代表的な課題を整理しながら、物流施設の計画・設計でどのように対応できるのかを解説します。あわせて、当社の物流施設実績も紹介しますので、物流拠点の見直しを検討する際の参考にしてください。

物流業界が抱える主な課題
物流業界の課題は、ひとつの原因だけで起きているわけではありません。人手不足、輸送効率の低下、拠点の分散や老朽化、災害時の事業継続、環境対応などが重なり、物流会社や荷主企業の運用に大きな影響を与えています。
特に近年は、EC市場の拡大や配送ニーズの多様化により、物流現場に求められる役割が広がっています。以前は「保管して運ぶ」ことが中心だった物流施設も、現在では仕分け、流通加工、在庫管理、短納期配送、広域配送への対応など、より多くの機能を担うようになりました。
その一方で、ドライバーや倉庫作業員の確保は難しくなっています。物量が増えても、人員を十分に増やせない状況では、現場の負担が高まり、作業効率や配送品質に影響が出るおそれがあります。そのため、物流業界の人手不足に対応するには、人員配置だけでなく、施設のつくり方そのものを見直すことが求められます。
人手不足
物流業界で最も大きな課題のひとつが、人手不足です。倉庫内作業では、入荷、検品、保管、ピッキング、仕分け、出荷などの工程があり、人の手に頼る場面が少なくありません。作業員が不足すると、一人あたりの作業量が増え、ミスや遅延の発生につながる可能性があります。
また、ドライバー不足も深刻な課題です。配送を担う人材が足りなければ、出荷体制を整えても、荷物を必要な場所へ運ぶことが難しくなります。物流会社だけでなく、荷主企業にとっても、安定した配送網を維持できるかどうかは事業継続に関わる課題です。
こうした状況では、少ない人数でも作業しやすい物流施設が求められます。倉庫内の移動距離を短くする、荷物の流れを整理する、自動搬送設備や仕分け設備を導入しやすくするなど、施設計画の段階から省人化を考えることが大切です。
輸送効率の低下
配送量の増加や多頻度配送への対応により、輸送効率の低下も課題になっています。納品先が広域化したり、配送回数が増えたりすると、車両やドライバーへの負担が大きくなります。特に拠点の立地が配送エリアに合っていない場合、走行距離や移動時間が増え、効率的な配送が難しくなります。
輸送効率を高めるには、幹線道路、港湾、空港、都市部へのアクセスを踏まえた物流拠点の配置が必要になります。広域配送を担う施設であれば、交通結節点に近いことが大きな強みになります。反対に、立地条件が合っていない施設では、倉庫内作業を改善しても、輸送全体の効率が上がりにくい場合があります。
物流拠点を見直す際は、施設単体ではなく、配送網全体のなかでどの役割を担うのかを整理することが必要です。
拠点の分散・老朽化
複数の物流拠点が分散していると、在庫管理、車両手配、人員配置が複雑になります。拠点ごとに作業ルールや設備仕様が異なる場合、管理負担が増え、現場の効率低下につながることもあります。
また、老朽化した施設では、現在の物流ニーズに対応しきれないケースがあります。天井高が不足している、床荷重が足りない、トラックバースが少ない、車両動線が狭いという課題があると、作業効率や安全性に影響します。さらに、自動化設備や大型マテハンを導入したくても、建物側の条件が合わず、十分に活用できないこともあります。
物流量の増加や事業拡大に対応するには、拠点の集約や大規模物流施設への移転も選択肢になります。施設の規模や機能を見直すことで、管理しやすく、将来の運用変更にも対応しやすい物流体制をつくることができます。
災害リスクとBCP対応
物流施設は、災害時にもできるだけ機能を維持することが求められます。地震、水害、停電などにより物流が止まると、自社の出荷だけでなく、取引先や消費者への供給にも影響が広がります。
特に主要な物流拠点では、災害時の停止が大きな損失につながる可能性があります。そのため、物流施設を計画する際は、平常時の効率だけでなく、非常時にも事業を続けやすいかどうかを確認することが大切です。
BCP対応では、立地、構造、設備配置、車両動線などを総合的に考える必要があります。浸水リスクがある地域では重要設備の設置高さを工夫する、災害時にも荷さばき機能を維持できる動線を確保するなど、施設計画の段階で備えておきたいポイントです。
環境配慮・脱炭素への対応
物流業界では、環境配慮や脱炭素への対応も欠かせない課題になっています。トラック輸送は柔軟性が高い一方で、CO2排出量やドライバー不足の面で課題があります。そのため、輸送距離の短縮、積載効率の向上、鉄道や船舶を活用するモーダルシフトなどが重視されています。
物流施設も、環境対応を支える拠点のひとつです。輸送手段を切り替えやすい立地にあること、車両の待機時間を減らしやすい構内動線を備えていること、省エネルギーに配慮した設備を導入できることなどが、環境負荷の低減につながります。
物流業界の課題は複合化しているため、ひとつの対策だけで解決することは難しいのが実情です。だからこそ、物流施設を見直す際は、人手不足、輸送効率、BCP、環境対応を一体で捉え、自社に必要な施設要件を整理することが大切です。
課題1|人手不足に対応する物流施設の考え方
物流業界の人手不足に対応するには、採用活動や人員配置の見直しだけでなく、物流施設そのものを「少ない人数でも運用しやすい形」に整理しておくことが有効です。現場で働く人が十分に確保できない状況では、作業員一人ひとりの移動距離や手作業の量が、そのまま生産性に影響します。
たとえば、入荷した荷物を保管場所まで運ぶ距離が長い、ピッキング後の仕分け場所が分かりにくい、出荷エリアまでの動線が交差しているなどの課題のある施設では、作業に時間がかかりやすくなります。人員に余裕がある時代であれば現場の工夫で対応できたことも、人手不足が進むなかでは大きな負担になります。
そのため、物流施設を計画する際は、作業工程に合わせた動線、マテハン設備の導入余地、将来的な運用変更への対応を早い段階から整理していきます。こうした点をあらかじめ考えておくことで、安定した物流運用につながります。
なぜ物流業界では人手不足が深刻化しているのか
物流業界では、倉庫作業員やドライバーの確保が難しくなっています。背景には、労働人口の減少、働き方の変化、EC需要の拡大、配送頻度の増加などがあります。扱う荷物の量や種類が増えているにもかかわらず、現場を支える人材が十分に増えにくいことが、物流業界の人手不足を深刻にしています。
特に倉庫内では、検品、棚入れ、ピッキング、仕分け、梱包、出荷などの作業が発生します。これらの作業が人の手に大きく依存している場合、人員不足の影響を受けやすくなります。作業員が足りないと、出荷までの時間が長くなったり、繁忙期に対応しきれなくなったりする可能性があります。
また、ドライバー不足も物流全体に影響します。倉庫内で予定通りに出荷準備ができても、配送を担う人員が不足していれば、荷物を届けることはできません。倉庫作業と輸送は別々の課題に見えて、実際には密接につながっています。
このような状況では、物流施設に求められる役割も変わります。単に荷物を保管できるだけではなく、少ない人数でも短時間で作業しやすいこと、車両の出入りが滞りにくいこと、設備を活用して作業を平準化できることが大切になります。
省人化・自動化を前提とした物流施設の重要性
人手不足に対応する物流施設では、省人化や自動化を前提にした計画が物流全体の効率を左右します。倉庫内の作業をすべて人の手で行うのではなく、自動搬送設備、仕分け設備、保管設備などを活用することで、作業員の負担を減らしやすくなります。
ただし、自動化設備は、後から簡単に導入できるとは限りません。設備を設置するには、床の強度、天井の高さ、柱の間隔、電源容量、メンテナンススペース、搬送ルートなどが関係します。建物の条件が合っていないと、導入できる設備が限られたり、十分な効果を発揮できなかったりすることがあります。
そのため、物流施設の計画段階から、どのような作業を自動化したいのか、どこに人の判断が必要なのか、どの工程を効率化すべきなのかを整理しておくことが大切です。人手不足が進むなかでは、建物と設備を別々に考えるのではなく、施設全体として運用しやすい形を検討することで、効率的な運用につながります。
また、省人化を進めることは、単に人を減らすためだけの取り組みではありません。重い荷物の搬送や長距離の移動を減らすことで、作業員の負担軽減や安全性の向上にもつながります。現場で働く人にとって使いやすい施設は、結果として物流品質の安定にも貢献します。
マテハン導入を見据えた施設設計のポイント
マテハンとは、物流現場で荷物の搬送、保管、仕分け、積み替えなどを効率化する設備や機器のことです。人手不足への対応を考えるうえで、マテハンを導入しやすい施設であるかどうかは押さえておきたいポイントです。
たとえば、自動搬送設備を使う場合は、搬送ルートが分かりやすく、通路幅が十分に確保されていることが必要です。大型の仕分け設備を導入する場合は、設備を置くスペースだけでなく、荷物の投入場所、取り出し場所、保守点検のための動線も考えなければなりません。ラックを高く積む場合は、天井高や床荷重も注意しておきたいポイントです。
さらに、物流業務は将来的に変化します。出荷量が増える、扱う商品が変わる、配送先が増える、新しい設備を導入するなど、運用の見直しが必要になる場面は少なくありません。そのため、施設計画では現在の作業だけに合わせるのではなく、将来の変更にも対応しやすい余地を残すことが大切です。
人手不足への対応を考えるうえでは、自動化・省人化を前提とした物流施設の実績も参考になります。SBSロジコム横浜金沢物流センターは、最新のマテハン設備を導入し、自動化・省人化をコンセプトとした物流施設として紹介されています。物流施設のDXや、現場作業の負担軽減を検討する際に参考になる実績です。
【関連】SBSロジコム横浜金沢物流センター
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works10/
また、作業内容に合わせた施設計画という点では、ALFALINK相模原3も参考になります。カスタマーのマテハン機器のモジュールに合わせて設計されたオーダーメイド型(BTS型:特定企業の運用に合わせて設計される物流施設)の大規模物流施設であり、自社の運用に合った施設づくりを考える際に見ておきたい実績です。
【関連】ALFALINK相模原3
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works2206/
物流業界の人手不足は、短期間で解消することが難しい課題です。だからこそ、施設計画の段階から省人化、自動化、作業動線を考え、限られた人員でも安定して運用できる拠点をつくることが求められます。
課題2|輸送効率を高めるための物流拠点のあり方
物流業界では、人手不足とあわせて輸送効率の低下も大きな課題になっています。配送量が増え、納品先や配送時間の指定が細かくなるなかで、限られた車両とドライバーをどのように活用するかによって運用に大きく影響します。倉庫内の作業を効率化しても、拠点の立地や施設規模が配送体制に合っていなければ、物流全体の効率は上がりにくくなります。
たとえば、配送先から遠い場所に拠点がある場合、移動時間が長くなり、1台の車両が1日に対応できる配送件数が限られます。また、幹線道路への接続が悪い施設では、出庫後の移動に時間がかかり、渋滞や待機時間の影響を受けやすくなります。港湾や空港を利用する荷物であれば、輸送手段との接続性も輸送効率に影響します。
輸送効率を高めるには、物流施設を単独の倉庫として見るのではなく、配送網全体の中でどの役割を担う拠点なのかを整理することが大切です。広域配送を担うのか、都市部へのラストワンマイルに近い役割を担うのか、輸出入貨物を扱うのかによって、必要な立地や施設規模は変わります。
配送量増加で高まる立地戦略の重要性
ECの拡大や小口配送の増加により、物流拠点にはより高い処理能力が求められています。以前よりも配送頻度が増え、納品までの時間も短くなるなかで、拠点の位置は輸送効率を大きく左右します。
配送量が増えている企業では、複数の小規模拠点で対応しているうちに、在庫管理や車両手配が複雑になっている場合があります。拠点ごとに在庫を持つと、欠品を防ぎやすい一方で、管理コストや移動の手間が増えることもあります。さらに、拠点間の横持ち輸送が発生すると、車両やドライバーの負担も大きくなります。
このような場合は、配送エリアや取扱量を整理し、拠点を集約するべきか、分散させるべきかなどは、検討時に押さえておきたいポイントです。広域配送に対応する施設であれば、幹線道路へのアクセスや都市部への距離が大切になります。輸出入を含む物流であれば、港湾や空港への接続性も見逃せません。
立地戦略は、単に交通の便が良い場所を選ぶことではありません。自社の配送先、荷物の流れ、車両台数、ドライバーの稼働時間を踏まえ、物流全体の負担を減らせる場所を選ぶことが求められます。
幹線道路・港湾・空港との接続性がもたらす効果
幹線道路、港湾、空港への接続性が高い物流施設は、輸送手段を組み合わせやすいという利点があります。陸上輸送を中心とする場合でも、高速道路や主要道路に近い施設であれば、広域配送や都市部配送に対応しやすくなります。
港湾に近い施設では、輸入貨物や輸出貨物の取り扱いがしやすくなります。コンテナ輸送との連携が必要な企業にとっては、港から施設までの移動距離が短いことが、時間短縮やコスト抑制につながります。空港に近い施設であれば、航空貨物や短納期配送への対応を考えるうえで有利です。
また、交通結節点に近い物流施設は、災害や交通障害が発生した際にも代替ルートを検討しやすくなります。ひとつの輸送手段に依存しすぎないことで、安定した物流体制をつくりやすくなるためです。
輸送効率を高める施設として、ESR東扇島ディストリビューションセンターは参考になります。羽田空港に隣接する川崎港内の東扇島に建設された物流施設で、「陸・海・空」の結節点となる立地を活かした大規模なマルチテナント型物流施設として紹介されています。広域配送や輸出入を見据えた拠点づくりを考える際に確認しておきたい実績です。
【関連】ESR東扇島ディストリビューションセンター
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works2310/
広域配送に対応する大規模物流施設の価値
広域配送に対応するには、十分な保管能力と荷さばき能力を備えた大規模物流施設が有効です。施設規模に余裕があれば、複数の荷主やエリアに対応しやすくなり、在庫管理や配送計画をまとめて整理しやすくなります。
小規模拠点が分散している場合、各拠点で人員や車両を確保する必要があります。人手不足が続くなかでは、拠点ごとに必要な人員をそろえることが難しくなり、繁忙期の応援体制も組みにくくなります。一方、大規模物流施設に機能を集約できれば、作業人員や設備を効率よく配置しやすくなります。
また、大規模施設は将来的な物量増加にも対応しやすい点が特徴です。取扱量が増えた場合や、新たな配送エリアに対応する場合でも、施設側に余地があれば運用を見直しやすくなります。トラックバースの数、倉庫内動線、保管スペース、事務所機能などを一体で考えることで、物流拠点としての使いやすさが高まります。
首都圏向けの物流集約を考える場合は、DPL千葉四街道も参考になります。東京から直線距離で約40kmに位置し、延床面積14万㎡を超えるマルチテナント型大規模物流施設として紹介されています。配送エリアと施設規模のバランスを考える際に見ておきたい実績です。
【関連】DPL千葉四街道
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works2207/
輸送効率を高めるには、倉庫内の改善だけでなく、施設の立地、規模、交通アクセス、配送網全体での役割を整理することが必要です。物流業界の人手不足が進むなかでは、移動時間や待機時間を減らし、車両と人員を有効に使える拠点づくりが、安定した物流体制につながります。
課題3|BCPに強い物流施設が求められる理由
物流施設は、平常時の保管・仕分け・出荷を支えるだけでなく、災害時にもできる限り機能を維持することが求められます。地震や水害、停電などによって物流が止まると、自社の出荷遅延だけでなく、取引先の生産活動や店舗運営、消費者への供給にも影響が広がるためです。
特に物流会社や荷主企業にとって、主要拠点の停止は大きなリスクになります。複数の拠点がある場合でも、在庫や配送機能が特定の施設に集中していれば、その施設が止まったときの影響は大きくなります。だからこそ、物流拠点の見直しでは、効率やコストだけでなく、災害時にどの程度事業を続けられるかを確認することが大切です。
物流業界では人手不足も続いているため、災害時に十分な人員を確保できるとは限りません。非常時でも限られた人数で安全に運用できる施設にするには、立地、構造、設備、車両動線を計画段階から整理しておく必要があります。
物流が止まることによる事業インパクト
物流が止まると、まず発生するのが納品遅延です。商品を予定通りに出荷できなければ、取引先の販売機会を失わせたり、製造ラインの停止につながったりする場合があります。食品や日用品、医薬品、製造業向け部品などを扱う企業では、物流停止の影響が特に大きくなります。
また、物流停止は在庫管理にも影響します。出荷できない荷物が倉庫内に滞留すると、保管スペースが圧迫され、新たな入荷を受け入れにくくなります。入荷と出荷の流れが崩れることで、作業計画の見直しが必要になり、現場の負担も増えていきます。
さらに、災害後は通常よりも多くの問い合わせや配送調整が発生します。限られた人員で対応しなければならないため、事前に非常時の運用を想定していない施設では、混乱が広がりやすくなります。
そのため、物流施設には、平常時の効率だけでなく、災害時に最低限の物流機能を維持できる備えが求められます。BCPに強い施設づくりは、企業の信用や供給責任を守るうえでも見過ごせないポイントです。
災害リスクを見据えた施設計画の必要性
BCPに強い物流施設を考える際は、まず立地のリスクを確認しておきましょう。地震、水害、土砂災害、液状化、周辺道路の寸断など、施設が置かれる地域によって想定すべき災害は異なります。物流拠点は車両の出入りが前提となるため、建物だけでなく、周辺道路やアクセスルートも確認しておきましょう。
水害リスクがある地域では、重要設備の配置が大きなポイントになります。受変電設備や通信設備、非常用設備が浸水してしまうと、建物本体に大きな損傷がなくても物流機能を再開しにくくなります。そのため、設備を浸水しにくい位置に設ける、復旧しやすい配置にするなどの工夫が必要です。
地震への備えでは、建物の耐震性や保管方法、荷崩れ防止などの対策が必要になります。高く積み上げた荷物やラックが倒れると、作業員の安全確保が難しくなるだけでなく、通路がふさがれて出荷作業にも影響します。施設の構造と倉庫内の運用を合わせて考えることが大切です。
また、災害時には人員が通常通り集まらない可能性もあります。少人数でも状況確認や荷さばきができる動線、車両の待機場所、緊急対応に必要なスペースを確保しておくことで、非常時の混乱を抑えやすくなります。
BCP対策を考慮した立地・構造・設備の視点
物流施設のBCP対策では、立地、構造、設備を分けて確認すると整理しやすくなります。立地では、災害リスクだけでなく、主要道路への接続性や代替ルートの有無を確認します。ひとつの道路に依存している施設では、道路の寸断や渋滞が発生した際に、配送機能が大きく制限される可能性があります。
構造では、建物の耐震性や床荷重、倉庫内の安全性を確認します。災害時に建物が大きな損傷を受けにくいことはもちろん、保管物や設備の配置によって、倉庫内の安全性が左右されます。保管物の種類やラックの配置によって対策方法は変わります。
設備では、受変電設備、通信設備、非常用設備、排水設備などの配置がポイントになります。災害時に物流機能を止めないためには、重要設備を守ることが欠かせません。特に水害リスクがある地域では、設備の設置高さや復旧のしやすさも踏まえて検討していきます。
BCP対応を検討する際は、DPL高槻のような施設が参考になります。DPL高槻は、地上4階建て、最大2テナントを想定した物流施設で、当社独自のTQ-MIX構法が採用されています。また、近隣河川のリスクを踏まえ、受変電設備を地上面から3mの高さの鉄骨架台に設置するなど、災害時の事業継続を意識した計画が紹介されています。物流施設のBCPを考えるうえで、構造や設備配置の視点から確認しておきたい実績です。
【関連】DPL高槻
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works2301/
物流施設のBCP対策は、災害が起きてから考えるものではありません。拠点を新設・移転する段階で、どのような災害リスクがあるのか、重要設備をどのように守るのか、非常時にどのような運用を行うのかを整理しておくことが大切です。平常時の使いやすさと非常時の強さを両立することが、これからの物流施設には求められます。
課題4|環境対応・モーダルシフトが物流業界で重要視される背景
物流業界では、人手不足や輸送効率の改善とあわせて、環境対応の重要性も高まっています。企業活動においてCO2排出量の削減が求められるなか、物流部門でも輸送方法や拠点配置の見直しが必要になっています。
特にトラック輸送は、柔軟に荷物を運べる一方で、ドライバー不足やCO2排出量の面で課題があります。配送先や荷物の種類によってはトラック輸送が欠かせない場面もありますが、長距離輸送のすべてをトラックだけで担うことは、今後さらに難しくなる可能性があります。
そこで求められるのが、鉄道や船舶などを活用するモーダルシフトです。輸送手段を見直すことで、環境負荷の低減だけでなく、ドライバー不足への対応や輸送体制の安定化にもつながります。物流施設も、こうした輸送方法の変化を支える拠点としての役割が求められています。
物流業界で進む脱炭素化の流れ
物流業界における脱炭素化は、単に環境配慮のためだけではありません。荷主企業のサプライチェーン全体でCO2排出量を管理する動きが広がるなか、物流拠点や輸送方法の選び方も企業価値に関わる要素になっています。
たとえば、輸送距離が長く、積載効率が低い配送が多い場合、燃料使用量が増え、環境負荷も高まりやすくなります。さらに、車両の待機時間が長い施設では、不要な燃料消費が発生することもあります。環境対応を進めるには、配送ルートの見直しや車両運用の改善に加えて、物流施設側の動線や荷さばき能力も確認しておきたい点です。
また、物流施設そのものにも、省エネルギー性能や環境配慮が求められます。照明設備、空調設備、太陽光発電設備、断熱性能など、建物の仕様によって日々のエネルギー使用量は変わります。環境対応を考えるうえでは、輸送と施設の両面から負荷を抑える形で検討していきます。
物流会社や荷主企業が拠点を見直す際には、単に保管能力や賃料を比較するだけでなく、環境負荷の低減につながる施設かどうかも確認しておきましょう。
輸送方法の見直しとモーダルシフトの重要性
モーダルシフトとは、トラックによる輸送から、鉄道や船舶など環境負荷の小さい輸送手段へ切り替える考え方です。すべての輸送を置き換えるものではなく、距離や荷物の性質に応じて、複数の輸送手段を組み合わせることで、輸送効率を高めやすくなります。
特に長距離輸送では、鉄道や船舶を活用することで、トラックドライバーの運転時間を減らしやすくなります。物流業界の人手不足が続くなかで、特定の輸送手段や人員に負担が集中しない体制をつくることは、安定した物流を維持するうえでも有効です。
一方で、モーダルシフトを進めるには、鉄道貨物駅や港湾との接続性がある物流拠点が必要です。鉄道や船舶を利用しやすい場所に施設がなければ、結局は長い距離をトラックで運ぶことになり、環境負荷の低減効果が小さくなってしまいます。
また、輸送手段を切り替える場合は、積み替えや一時保管、方面別仕分けを効率よく行える施設であることも大切です。施設側の荷さばき能力が不足していると、輸送手段を見直しても、全体の効率が上がりにくくなります。
環境負荷低減を支える物流施設の役割
環境負荷を低減する物流体制をつくるには、輸送手段と物流施設を一体で考えていきます。鉄道輸送を活用する場合は、貨物駅との接続性、港湾を活用する場合は、コンテナ輸送や海上輸送との連携のしやすさなども確認しておきましょう。
物流施設には、荷物を保管するだけでなく、輸送方法を切り替える中継拠点としての役割もあります。長距離輸送を鉄道や船舶で行い、近距離配送をトラックで行うような体制を組む場合、拠点での荷さばきや仕分けがスムーズでなければ、全体の効率が低下してしまいます。
さらに、施設内の車両動線も環境負荷に関わります。トラックが構内で長く待機したり、出入口付近で混雑したりすると、燃料消費が増えやすくなります。効率的なバース配置や待機スペースの確保は、作業効率だけでなく、環境対応の面でも意味があります。
環境対応やモーダルシフトを考える際は、東京レールゲートWESTが参考になります。東京レールゲートWESTは、貨物鉄道輸送の利便性を活かし、モーダルシフトを推進する施設として計画されたマルチテナント型物流施設です。トラック輸送だけに頼らない物流体制や、環境負荷低減を支える拠点づくりを考える際に見ておきたい実績です。
【関連】東京レールゲートWEST
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works10/
物流業界における環境対応は、今後、より一層重視されていくと考えられます。輸送距離を短くする、積載効率を高める、鉄道や船舶を活用する、省エネルギー性能の高い施設を選ぶなど、取り組むべきことは多岐にわたります。物流拠点の見直しでは、日々の運用効率だけでなく、環境負荷を抑えながら安定した物流を続けられるかという視点が欠かせません。
課題5|多様化する物流ニーズに対応できる施設とは
物流施設に求められる役割は、年々多様化しています。以前は、荷物を保管し、必要なタイミングで出荷する機能が中心でした。しかし現在は、EC対応、店舗向け配送、製造業向け部品供給、流通加工、返品対応、温度管理など、扱う荷物や作業内容が複雑になっています。
物流会社や荷主企業にとって、こうした変化に対応できる施設を選ぶことが今後の運用に大きく影響します。現時点では問題なく使えている施設でも、取扱量が増えたり、配送先が変わったり、新しいマテハン設備を導入したりすると、施設の使いにくさが表面化することがあります。物流拠点の見直しでは、現在の業務だけでなく、将来の変化も見据えて検討していきます。
特に人手不足が続くなかでは、作業内容に合わない施設を使い続けることが、現場の負担を大きくする原因になります。自社の物流ニーズに合った施設を計画することで、作業効率や配送品質を保ちやすくなります。
テナントニーズの多様化
物流施設を利用する企業によって、必要な条件は大きく異なります。大量の商品を保管したい企業では、十分な床面積や天井高、ラックを設置できる床荷重を確保しておく必要があります。一方で、出荷頻度が高い企業では、ピッキングや仕分けを行うスペース、トラックバースの使いやすさ、作業員の動線を適切に確保することで、作業効率を高めやすくなります。
また、EC向け物流では、出荷件数が多く、小口の荷物を短時間で処理をすることが求められます。店舗配送では、方面別の仕分けや定時配送に対応しやすい動線を確保しておくことで、作業効率の向上につながります。製造業向けの物流では、部品の供給タイミングや在庫管理の精度が、安定した供給の維持を左右します。
このように、物流施設に求められる機能は、業種や運用内容によって変わります。汎用性の高いマルチテナント型施設が適している場合もあれば、特定企業の業務に合わせた施設のほうが適している場合もあります。
物流拠点を選ぶ際は、施設の規模や立地だけでなく、自社の作業内容に合った使い方ができるかを確認することが大切です。
汎用型だけでなくオーダーメイド対応も求められる理由
物流施設には、複数の企業が使いやすいように計画された汎用型の施設があります。マルチテナント型の施設は、一定の広さや機能を備えているため、幅広い企業にとって利用しやすい点が特徴です。事業拡大や拠点移転を検討する企業にとって、有力な選択肢になります。
一方で、取り扱う荷物や作業工程が明確で、必要な設備や動線が決まっている場合は、オーダーメイド型(BTS型)の施設が適していることもあります。特にマテハン設備を前提とした施設では、設備のモジュールや搬送ルートに合わせて、柱の配置や作業スペースもあわせて検討していきます。
建物に業務を合わせるのではなく、業務に合わせて建物を計画できれば、作業効率を高めやすくなります。人手不足への対応を考えるうえでも、自社の作業に合った動線や設備配置は大きな意味を持ちます。
ただし、BTS型の施設を計画する場合は、現在の業務だけに合わせすぎないことも大切です。将来的な取扱量の増加や設備更新を想定し、変更に対応できる余地を持たせておくことで、長く使いやすい物流拠点になります。
将来の運用変更に対応しやすい施設計画とは
物流の現場では、取扱量や配送先、作業方法が変わることがあります。新しい商品を扱うようになったり、ECの比率が高まったり、配送エリアが広がったりすることで、施設に求められる条件も変化します。
そのため、物流施設を計画する際は、現在の最適化だけでなく、将来の運用変更に対応しやすいかを事前に考えておくことで、将来の見直しがしやすくなります。柱の配置、倉庫内の区画、トラックバース、設備スペース、事務所機能などに余裕があれば、事業環境が変わった際にも見直しがしやすくなります。
また、マテハン設備を導入する場合でも、将来的な入れ替えや増設を見据えて計画していきます。設備は一度導入すれば終わりではなく、取扱量や業務内容に応じて更新されることがあります。施設側に余地がなければ、設備更新のたびに大きな工事や運用変更が必要になる可能性があります。
多様化する物流ニーズへの対応を考える際は、ALFALINK相模原4が参考になります。ALFALINK相模原4は、BTS型の大規模物流施設として紹介されています。前件からの改善点を反映している点も特徴で、将来の運用変更や段階的な施設づくりを考える際に見ておきたい実績です。
【関連】ALFALINK相模原4
https://www.tokyu-cnst.co.jp/architecture-design/works/works2309/
物流ニーズは今後も変化していくことが予想されます。だからこそ、物流施設には、現在の業務に合っていることだけでなく、将来の変化にも対応できる柔軟性が求められます。自社の物流課題や事業計画を整理し、必要な施設要件を明確にすることが、長く使いやすい拠点づくりにつながります。
物流業界の課題解決には物流施設の視点が欠かせない
物流業界の課題は、人手不足、輸送効率、BCP、環境対応、多様化する物流ニーズなど、複数の要素が絡み合っています。そのため、ひとつの対策だけで解決することは難しく、物流拠点の立地や機能、運用も含めて全体を見直していく必要があります。
たとえば、人手不足に悩んでいる場合でも、単に作業員を増やすことだけが対策ではありません。作業員の移動距離を短くする、マテハン設備を導入しやすくする、入出庫や仕分けの動線を整理するなど、施設側の工夫によって現場の負担を軽減できる可能性があります。
また、輸送効率を改善したい場合も、配送ルートの見直しだけでは不十分なことがあります。拠点の立地が配送エリアや幹線道路、港湾、空港との接続に合っていなければ、車両やドライバーの稼働に無駄が生じやすくなります。物流施設は、輸送網の中でどの役割を担うのかを明確にしたうえで計画することが大切です。
BCPや環境対応についても同じです。災害時に物流機能を維持するには、施設の立地、構造、設備配置、非常時の動線まで備えておく必要があります。脱炭素への対応では、輸送距離の短縮やモーダルシフトに加え、省エネルギーに配慮した施設づくりが求められます。
このように、物流業界の課題解決には、運用面の改善だけでなく、施設計画の視点が欠かせません。
課題ごとに必要な施設要件は異なる
物流施設を見直す際は、自社がどの課題を優先して解決したいのかをまず明確にしておく必要があります。人手不足への対応を重視するのか、輸送効率を高めたいのか、災害時の事業継続を重視するのか、環境対応を進めたいのかによって、必要な施設要件は変わります。
人手不足への対応では、作業動線の短縮やマテハン設備の導入しやすさがポイントになります。省人化や自動化を見据え、床荷重、天井高、柱の配置、設備スペースなどを確認する必要があります。倉庫内の作業が複雑な場合は、入荷から出荷までの流れを整理し、人の移動や荷物の滞留を減らす運用も合わせた動線設計とすることが必要です。
輸送効率を重視する場合は、立地や交通アクセスが大きなポイントになります。幹線道路、港湾、空港、鉄道貨物駅などとの接続性が高い施設であれば、輸送手段の選択肢が広がり、配送時間や移動距離を抑えやすくなります。広域配送を担う拠点では、施設規模やトラックバースの数に応じて、処理できる物量や運用効率が大きく変わります。
BCPを重視する場合は、災害リスクを踏まえた立地、建物の構造、重要設備の配置を確認しておきます。水害リスクがある場合は、受変電設備や通信設備を浸水しにくい場所に配置するなど、災害時の復旧しやすさも含めて検討していきます。
環境対応を進める場合は、輸送距離の短縮やモーダルシフトに対応しやすい立地、省エネルギーに配慮した設備、車両の待機時間を減らしやすい構内動線などが施設要件になります。課題ごとに求められる条件を整理することで、自社に必要な物流施設の方向性が見えやすくなります。
立地・規模・自動化・BCP・環境対応を一体で考える重要性
物流施設の計画では、立地、規模、自動化、BCP、環境対応を別々に考えるのではなく、一体で検討することが大切です。なぜなら、これらの要素は互いに関係しているためです。
たとえば、交通アクセスの良い立地であっても、施設規模が不足していれば、保管や仕分けの能力が足りず、輸送効率を十分に高められない場合があります。反対に、十分な面積を持つ施設でも、配送エリアから遠ければ、車両の走行距離や移動時間が増えてしまいます。
自動化設備を導入したい場合も、施設の規模や構造だけでなく、作業動線や電源容量、メンテナンススペースまで踏まえて検討していきます。設備を入れることだけを目的にしてしまうと、現場の運用に合わず、期待した効果が出にくくなることがあります。
BCPと環境対応も、施設計画と密接に関係しています。災害時に機能を維持するためには、設備配置や構造面の工夫が必要です。環境負荷を減らすためには、輸送方法、施設立地、車両動線、省エネルギー設備を組み合わせて考えることが求められます。
物流拠点の見直しでは、ひとつの条件だけを優先するのではなく、自社の目的に応じて優先順位を整理しながら検討していく必要があります。施設計画を総合的に考えることで、日々の運用に無理がなく、将来の変化にも対応しやすい物流拠点をつくりやすくなります。
自社の物流課題に合った実績を参考にする意義
物流拠点を見直す際は、自社と近い課題を持つ施設実績を参考にすることが有効です。すべての企業に同じ物流施設が合うわけではありません。取扱品目、配送エリア、物量、必要な設備、災害リスク、環境方針によって、適した施設の条件は変わります。
たとえば、人手不足への対応を重視するなら、自動化・省人化を前提とした施設が参考になります。輸送効率を高めたい場合は、交通結節点に近い大規模物流施設を見ることで、立地と配送網の関係を整理しやすくなります。BCPを強化したい場合は、災害リスクを踏まえた設備配置や構造の工夫を確認することが大切です。
また、環境対応を進めたい企業にとっては、モーダルシフトに対応した物流施設の考え方が参考になります。鉄道や港湾との接続性を活かした施設を確認することで、トラック輸送だけに依存しない物流体制を検討しやすくなります。
物流施設の実績を見る際は、建物の規模や外観だけでなく、「どのような課題に対応するための施設なのか」という観点で見ることがポイントです。自社の課題に近い実績を参考にすることで、必要な施設要件や検討すべき項目を整理しやすくなります。
当社は、物流施設を含む建築実績を通じて、立地、規模、自動化、BCP、環境対応など、さまざまな物流課題に向き合ってきました。物流拠点の見直しを進める際は、施設の視点から課題を整理し、自社に合った方向性を見極めることが大切です。
まとめ
物流業界では、人手不足、輸送効率の低下、拠点の分散・老朽化、災害リスク、環境対応など、さまざまな課題が同時に進んでいます。特に「物流 人手 不足」「物流 業界 人手 不足」は、物流会社だけでなく、荷主企業にとっても重要なテーマです。必要な人員を確保しにくい状況では、これまでと同じ施設や運用のままでは、安定した物流体制を維持することが難しくなる可能性があります。
こうした課題に対応するには、採用や配送ルートの見直しだけでなく、物流施設そのものを見直すことが大切です。省人化や自動化を進めるには、マテハン設備を導入しやすい床荷重や天井高、柱の配置、設備スペースが必要になります。輸送効率を高めるには、幹線道路、港湾、空港、鉄道貨物駅などとの接続性を踏まえた立地選定が欠かせません。
また、物流拠点は災害時にも重要な役割を担います。地震や水害、停電などによって物流機能が止まると、自社の出荷遅延だけでなく、取引先や消費者への供給にも影響が広がります。そのため、BCPの観点から、災害リスクを踏まえた立地、建物の構造、重要設備の配置、非常時の車両動線まで確認しておくことが重要です。
さらに、脱炭素への対応も物流施設に求められる大切な視点です。トラック輸送だけに頼るのではなく、鉄道や船舶を活用するモーダルシフトを進めることで、環境負荷の低減やドライバー不足への対応につながります。物流施設は、保管や仕分けを行う場所であると同時に、輸送手段の見直しを支える拠点でもあります。
物流業界の課題は複合化しているため、ひとつの対策だけで解決することは難しいのが実情です。だからこそ、立地、規模、自動化、BCP、環境対応を一体で考え、自社の物流課題に合った施設要件を整理することが大切です。実績を確認する際も、建物の大きさや外観だけでなく、どのような課題に対応するための施設なのかを見ることで、自社の拠点見直しに活かしやすくなります。
当社は、物流施設をはじめとする建築実績を通じて、事業者のさまざまな課題に向き合ってきました。今後も、物流を支える施設づくりを通じて、安定した事業運営と持続可能な物流体制の実現に貢献してまいります。