2026.01.20
東急建設、「モクタスキューブ」を自社建設現場に初導入
目次
災害対応力の強化と現場の快適性向上を両立するために、建設会社として私たちにできることは何か -。当社は、この問いに対する一つの答えとして、自社開発した木造モバイル建築「モクタスキューブ」を、自社建設現場に初めて導入しました。 平常時は建設現場の仮設事務所として活用し、災害時には迅速に被災地へ提供できるという二面性を持つこの建物は、これまでにない新たな活用フェーズへと移行しつつあります。本記事では、初導入の背景や意義、そして当社が進める「社会的備蓄」としての取り組みについて、現場目線で詳しくご紹介していきます。
東急建設が自社現場に導入した「モクタスキューブ」とは
「モクタスキューブ」は、東急建設が独自に開発した可搬型の木造建物で、災害時には応急仮設住宅として、平時には現場事務所などに活用できる柔軟性を備えています。これまでも令和6年能登半島地震をはじめ、支援拠点や宿舎としての設置実績がある一方で、自社の建設現場に常設するのは今回が初の取り組みとなりました。 導入された建物は、工場で事前に製作されたユニットを現地で連結する構造となっており、10トントラック1台で運搬可能という機動性が特徴です。設置時には大規模な工事が不要なため、少人数かつ短期間での施工が可能です。導入された1棟目は都内の現場に、続いて2棟目は静岡県の現場に配置されており、今後も継続的な製作と設置を予定しています。 今回の自社導入は、モクタスキューブの存在をより実務に根ざした形で生かすための一歩です。単なる展示や災害時対応に留まらず、建設現場での実使用を通じて運用ノウハウを蓄積することが目的とされています。これにより、仮設建物としての信頼性をさらに高め、今後の災害発生時にもより迅速かつ的確に供給できる体制を整えていきます。 
仮設事務所としての運用と平時活用の可能性
モクタスキューブの自社現場への導入は、災害対応の備えという側面に加えて、建設現場での日常的な活用という新たな可能性を切り開く取り組みでもあります。実際に導入された現場では、仮設事務所として活用されており、木造ならではのぬくもりある空間が作業員にとっても快適な環境を提供しています。 従来の仮設事務所は、金属製ユニットなど無機質な構造が一般的で、断熱性や遮音性に課題があることも少なくありませんでした。それに対し、モクタスキューブは住宅と同等の断熱性能(UA値0.6以下)や耐震性能を備え、遮音性にも優れているため、快適性と安全性を両立しています。 また、仮設でありながら建築基準法に適合しているため、さまざまな現場での活用が可能であり、建設現場の質の向上や作業効率の改善にもつながっています。現場環境の快適さは、作業員のモチベーションや集中力にも影響するため、間接的に施工品質の向上にも寄与しているといえます。 このように、平時から仮設事務所として実際に使用することで、非常時の運用にも無理なくスムーズに移行できる体制が整えられます。今後も当社は、モクタスキューブの現場活用を広げながら、備蓄と実用の両立を目指していきます。
社会的備蓄としての役割と防災意識の向上
「社会的備蓄」という言葉が注目される中で、当社が推進するモクタスキューブの現場導入は、防災・減災の取り組みを日常の業務に組み込む新しい試みでもあります。この「社会的備蓄」とは、一般社団法人日本モバイル建築協会が提唱する官民協働の取り組みで、平常時には地域資源として活用し、災害時には応急仮設住宅などの復興支援施設として転用することを目指しています。 これまでの災害対応では、発災後に仮設住宅の設計・製作・輸送を行う必要があり、支援体制が本格化するまでに時間を要していました。こうした課題に対し、モクタスキューブはあらかじめ工場で製作し、各地の建設現場で日常的に使用することで、緊急時にそのまま迅速に被災地へ移設・活用することが可能です。 また、普段から現場で使用されていることで、設置・運用に関する経験やノウハウも蓄積され、実効性のある備えとして機能します。単なる「ストック」ではなく、稼働中の設備として維持されていることが、従来の備蓄とは一線を画す点です。 加えて、社員一人ひとりがモクタスキューブの運用を通じて防災・減災への理解を深めることができるため、組織全体としての防災意識の底上げにもつながっています。 当社は、気候変動問題などの社会課題の解決に向け、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を提供価値として掲げています。事業を通じて「防災・減災」に積極的に取り組み、安全・安心なまちづくりと地域社会への貢献を推進するとともに、モクタスキューブの活用によって自社全体の防災意識をさらに高めてまいります。
まとめ
建設現場の仮設事務所として初めて導入された「モクタスキューブ」は、災害時と平常時の両面で活躍する実用的な木造モバイル建築として、新たな段階へと進化を遂げました。今回の取り組みは、製作した建物を単に保管するのではなく、現場で日常的に活用しながら備蓄するという、効率的で持続可能な運用方法の実践です。 建築基準法に準拠した構造や快適な居住性を持ちつつ、緊急時には迅速に移設できる特性は、今後の社会的備蓄のあり方に一石を投じるものです。また、実際の現場での運用を通じて蓄積された知見は、災害発生時の初動対応力をさらに高める要素にもなります。 木造建築ならではの温かみと持続可能性を生かしながら、当社は今後もモクタスキューブの展開を広げ、防災・減災に資する社会づくりに貢献してまいります。