九州支店土木部 生物多様性勉強会~in大隈トンネル~

土木工事現場の周辺にはなにがいるの? 私たちができることは何だろう? 生き物調査を通して、建設現場ができる生物多様性への取り組みを考える!
九州支店土木部 生物多様性勉強会~in大隈トンネル~
目次

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こんにちは、今回は環境技術部からの発信です!
早速ですが、皆さんは土木の工事現場周辺にはどのような生き物がいるのか、知っていますか?

今回の記事では、日夜工事が進む工事現場周辺にはどんな生物が生息しているのか?私たちゼネコンが取り組めることはないのか?
九州支店土木部が主催する土木現場で、実施できる生物多様性の取り組みを"学び・考える"生物多様性勉強会の様子をレポートします!

九州支店土木部 生物多様性勉強会って?

九州支店土木部生物多様性勉強会とは、九州支店土木部が中心となって実施している九州支店の土木技術員を対象とした生物多様性について学ぶ勉強会です。講師には、毎年楽しく勉強になる講義を実施してくださる、一般社団法人里山いきもの研究所(以下、いきもの研究所)様から講師の先生をお招きして、建設業と生物多様性の関連性や現場の周辺の生き物生息状況などを学び生物多様性の意識向上を目的として実施をしています。

生物多様性勉強会は2023年度から開催しており、今年で3回目を迎えました。12回目は現場作業所周辺の山での勉強をしました。今回は、注目する視点を変えて"河川管理と生物多様性"をテーマにフィールドワークと講義を実施していただきました。

そもそも、建設業と生物多様性はどのような関係があるの?

建設業は、建設工事現場での自然への直接的な影響だけでなく、資材調達や施工時に使用するエネルギー等自然環境とは、多くの関わりを持っています。

特に土木現場は、自然環境が豊かな場所から都市域まで幅広い場所など様々な場所で工事を実施します。
工事を行っている際に、貴重な動植物が発見される可能性もあり、保全対策を実施するなど現場での生物多様性への配慮がとても重要となります。

そのため、生物多様性勉強会では社員の生物多様性への関心を高められるように、まずは生き物のことを知ろう!ということで現場の周辺環境の生き物調査から実際の工事配慮事例などを学びます。

さっそくフィールドワーク!

さて、現場周辺の河川にはどのような生き物が生息しているのでしょうか?

今回は魚類と鳥類の調査を実施しました!魚類に関しては、いきもの研究所さんに"たも網"を使って調査をしてもらいました。

たも網とは?
魚類の調査で使用する道具です。ガサガサといって胴長を履いて川の端を たも網を使ってガサガサしながら下流から上流に向かって歩いていき、 魚類を捕獲する調査方法の際に使います。 seibutu_1.jpg

今回は、たも網での調査を行いましたが、他にも環境技術部では「環境DNA分析」という手法を用いた生物の調査方法も研究しています!(環境DNA分析についてはこちら

参加者の皆さんも双眼鏡を覗いて河川や上空にいる鳥類を確認しています。さてどんな生き物がいるのでしょうか?

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ドキドキの調査結果!!

今回の調査では8種類の魚類と22種の鳥類が確認されました。
確認された中で特徴的な種をピックアップしてご紹介したいと思います!

魚類調査では、「オイカワ」や「カマツカ」などが確認された中で、「ミナミメダカ」という環境省および福岡県のレッドリストで絶滅危惧Ⅱに指定されている重要種が確認されました!ミナミメダカは、国内で9の地方集団に分かれているため、地域ごとでの種の保全が重要となっています。

鳥類調査では、「ミサゴ」という環境省レッドリストで準絶滅危惧に指定されている魚食性の猛禽類を確認しました!

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調査から様々な種類の魚類と鳥類が生息しており、中には重要な生き物も生息していることが分かりました。

このように様々な生き物が住んでいる河川にいる生き物についてゼネコンとして何ができるのでしょうか?続いて実際に河川の構造を見ながら考えていきます!

河川の構造から学ぶ生物への配慮とは?!

まずは、現場から10分ほど移動して河川を見ていきましょう!
周囲には田畑が広がっており、とても自然豊かな河川です。

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下流側に進んでみると・・・

河川を横断するような構造物(堰)があります。

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さてここで皆さんに質問です!

.皆さんは自分の目の前が行き止まりだったらどうしますか?
・・・
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一つの答えとして、

A.私たち人間であれば迂回をする、はしごをかけて登るなど対応を考えて乗り越えるのではないでしょうか。

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しかし、魚はどうでしょうか?

魚は陸地を歩くことはできませんし、はしごをかけることもできません。

実は、魚の中には産卵をするために毎年上流に登る魚がいます。イラストのように壁ができてしまうと川を登ることができず、産卵場所までたどり着かないという状況になってしまいます。

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登ることができなかった魚類は何十年もかけて、人間が造った環境に適用していくかもしれませんが、上流側はどうでしょうか?
いままで下流から上流に産卵期に訪れていた魚が来なくなり、生態系のバランスが崩れて、生物多様性の減少につながる可能性があります。

しかし、堰も大雨が降ったときに河川の水量の調節をしたり、田んぼに水を入れたりするなど私たちの生活に欠かせない構造物です。

それでは、魚の生息環境を守りつつ私たちの生活も守る方法としてはどのようにすればよいのでしょうか?

 

近くにどちらも兼ね備えた河川があるということで実際に見にいってみましょう!

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最初の河川と同じように堰はあるのですが、堰の下流側がでこぼこしているのが分かります!

この突起は生き物が上流に登るときにつるつると滑らないようにする役割や、休憩場所として使われるそうで生物多様性の配慮事例の一つになります。

河川の手前側に目を向けると何やら溝がありますね。

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これこそ「魚道」という魚が通ることができる道です!!
魚道があることによって、堰があっても魚は上流側に行くことができ、水量は調節できるため、私たちの生活も守ることができますね!

 

さらに、こちらの魚道はいきもの研究所さんのお話によるとかなり珍しいようです!
水面を泳ぐ魚は写真の左側(赤い矢印)から、河川の底を這うように泳ぐ魚は右側(緑色の矢印)から通ることができる構造となっています。
河川の底を這うように泳ぐ魚のために、魚道の底に近い部分に穴が開いており、そこから行き来ができるような構造になっています。
魚類の特性も考慮されており、より多くの魚類が生活しやすいように配慮された事例ですね。

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河川でできる配慮事例~番外編~

①エコトーンの整備

エコトーンとは、異なる生態系が緩やかに接し、連続的に変化する移行帯のことで、カエルやホタルなど一生のうちで水辺と陸地を行き来する生き物や水深が浅い場所の水草を産卵場所として利用する種の魚類にはとても重要な場所になっています。

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②親水空間の整備

川に降りることができる階段の設置も配慮事例につながります。

階段を設置することによって、人間が行う維持管理作業(草刈り等)がしやすくなり、生物の生息環境の継続的な維持につながるということで配慮事例の一つになるのではないでしょうか。

最後に

勉強会では、実際に調査の体験と事例の見学という盛沢山の内容を勉強することができました!

現場の周辺の生き物を調査するという貴重な経験となり、工事を進めながらも周囲の生き物生活に配慮しなければいけないと改めて感じました。
また、このような事例を実際に現地に行き自分の目で見て・学び・考えることで生き物に寄り添った施工を私たちゼネコンができるのではないでしょうか。

引き続きいろいろな事例を集めて、私たちにできることを考えていきたいです!