2026.01.01
どっちがいいの?「概算式」と「積み上げ式」
目次
前回で建材製造段階のCO2(建材CO2)削減の課題は、まず算定方法にあるという話をしたのですが、今回はこのあたりを深堀りしたいと思います。
CO2算定法「概算式」から「積上げ式」へ
そもそも建材CO2の算定方法には、大きく2つ「概算式」と「積上げ式」があります。
「概算式」は、建物の金額に係数(例えば4.2t-CO2/百万円)を掛けてざっくりと算定する方法です。一回の掛け算なので「概算式」なら一瞬で算定可能です。

「概算式」の算定イメージ
これに対して「積上げ式」は、まず建物部材の数量(コンクリート100m3、鉄筋10tなど)を拾って、その部材数量に部材ごとのCO2排出原単位(例えばコンクリート0.32t-CO2/m3など)を掛け、それぞれを全部合計した数値が建物全体の建材CO2排出量になります。
細かいと数百にもなる建物全体の部材数量を拾って、それぞれのCO2原単位を調べないといけないので、「積上げ式」はめちゃくちゃ大変なのですね。

「積上げ式」の算定イメージ
実は従来から、企業の報告書などに使うためにCO2算定の要望は一部であったのですが、ざっくりと「概算式」で算定してました。CO2算定だけなら「概算式」で良かったのです。CO2算定だけなら・・・
ここで、CO2削減要求が入ってくると話が変わってきます。
「概算式」だとCO2削減効果が反映できない!?
悲しいかな現状は、低炭素建材を使うとコストが高くなる場合が多いのです。CO2削減要求に対し、低炭素建材を採用すると「概算式」はコストに比例してCO2算定されるので、逆にCO2排出量が大きくなってしまいます。
開発が進む「積上げ式」算定ツール
「積上げ式」でCO2算定するには算定ツールを使うのが一般的です。
このCO2算定ツールは、日本建築学会の『AIJ-LCAツール』や住友林業さんの『One Click LCA』などが、従来からあるのですが、専門性が高いので、なかなか使いこなすにはハードルが高いです(あくまで私が使ってみた感想ですが・・・)
そこで2022年11月に登場したのが、不動産協会の建設時GHG排出量算定ツールです。これは不動産協会の会員限定ツールなのですが、範囲や入力項目が限定されていて専門知識がなくても、かなり使えます。
そして2024年10月に登場したのが、ゼロカーボンビル推進会議で作られている『J-CAT(ジェイキャト)』ですね。J-CATは建築物ライフサイクル全体のCO2が算定できるのですが、建材CO2の部分は、ほぼ不動産協会のツールと整合しています。

業界標準となる「積上げ式」算定ツールは??
他にも算定ツールはありますが、現状、これらのツールはより使いやすくなるように改善改良が進められている状態です。
どのツールが業界標準になるのか?まだまだはっきりしておらず、我々も業界動向を見ながら、ツールを試行錯誤しています。極力手間が掛からず、一定の精度で算定できるツールになることを期待しています。
余談ですが、東急建設は2022年2月に独自の「積上げ式」CO2算定ツールを作っています。この開発経緯もなかなか面白いので、また別の機会にお話しますね。