光は口ほどに物をいうのかもしれない
「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」といいますが、"ホタル"は意外と自己主張しているのかもしれません
こんにちは、未来LABO事務局です。
夜の上郷へ潜入
6月中旬に行われた湿地保全のボランティアに参加した筆者ですが、運営部署から事前にこんなお誘いを受けていました。
「ホタルの鑑賞ができる時期ですが、夜の取材もしませんか?」
上郷でホタルの鑑賞できるんですか!?こんな都会に近い場所で?これは是非とも肉眼で見てみたいものです。日中の保全活動の疲れは残りますが、夜間のホタル調査に潜入してきました。
何をしてるの?ホタル調査
ホタル調査に加わったものの、ホタルに関してあまり知識がありません。外が暗くなるまで待つ間に、ホタルの知識と当社の取組みを学びます。
Q1. 上郷では何のホタルを見れるの?
A1. 「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」を見ることができます。
Q2. ホタル生育環境整備はどんなことをしているの?
A2. 里山管理の一環として、象徴種となるホタルの再生を行っています。
①遊休地の自然環境調査と検討
②生育環境に必要な湿地の設計、施工
③ホタルの自社飼育、幼虫の放流
④湿地の維持管理
Q3. なんで"ホタル再生"をしているの?
A3. ホタルの生育には、「綺麗な水&土」「飛び回れる自然環境の整備」が必要です。ホタルは里山の指標種にもなります。国内の里山が減少しているのに伴い、ホタルも希少な生物になっています。
生物に詳しくない私でも、空気が澄んだ山里の綺麗な水辺や田んぼの夜道をホタルが優雅に飛んでいるイメージはあります。「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」の種の違いなどもあるようですが、生物学的なレポートはできないので、現地で見たことを主観でお伝えしたいと思います。
水無月の暗闇へ
時刻は20時。夏至付近の取材だったため、暗くなるまで数時間待ちました。この日は月も雲に隠れ、夜道を照らすものはこの街頭の光だけ。この街頭を超えた先のエリアは、足元も見えないような暗闇が広がります。
観察ポイントに向けて歩く道中、ふわふわと緑色の淡い光が見えたような...見えなかったような状態が続きます。鳥目+日々ブルーライトで目を酷使している筆者。全然目が慣れません。「なんか黄緑に光ったような気がする!いた!あれどこいった?」の連発です。足元もろくに見えていないのに、非日常の淡い光を一目見たいと必死です。その一方、調査隊の方は慣れた様子で、道中に目視できたホタルの数をカウントしながらどんどん進んでいきます。ホタルが飛んでいるということは、すなわち"水辺に近い"ということでもあります。転んだら水路や湿地にドボンという可能性が非常に高いです。初めて行かれる方は無理をせず、ホタルに影響がない範囲で足元を照らしながら歩くことをオススメいたします。
暗闇を歩くこと5分。ホタルが見られる観察ポイントに到着しました。
当社管理の湿地周辺でホタルのカウントが始まりました。ようやくこのあたりから私の目も暗闇に慣れて目視できるようになってきました。たった5分間で人間の目は環境に適応できるようです。目に見えても、スマートフォンのカメラのような簡易機材では素人にはホタルを撮ることができません。以前の調査でプロの方が撮影された写真をお借りしましたので、ご覧ください。
とても美しい光景ですね。まさに光の乱舞です。ホタルは光を使いコミュニケーションを取っていると言われています。オスとメスの出会いのために光っていると思っていたのですが、種によっては卵や幼虫、サナギの時期から発光するそうです。さらに同じ種でも西日本と東日本では光る間隔が違うという記事もみられました。ますます謎多き生き物ですね。
つまり、求愛している個体もいれば、仲間に危険を知らせている個体、もしかしたら自己紹介している個体や独り言を呟いている個体もいるのかもしれません。まるでSNSを俯瞰しているような光景ですね。二匹連なって葉の上で光るものもいれば、葉の裏側で静かに点滅を繰り返すもの、調査隊の頭の上あたりの高さで優雅に浮遊するもの。それぞれコミュニケーションの意図が違うような気がしてきます。目が慣れてきた今、ホタルの主張が聞こえてくるように感じます。セミの鳴き声が"セミロックフェス"だとすると、ホタルの光は"ホタル懇親立食パーティ"のようです。同じ夏の風物詩ですが、受ける印象は違いますね。
調査も終え、来た道を戻ります。行きは暗くて見えていなかった夜道も目が慣れていろんなことに気が付きます。「湿地で飛んでいたホタルと水路を飛んでいるホタル。光り方が違う?さっきよりも主張が激しい明るさでは?」と、素人でもわかる主張の違う光り方です。同行していた調査隊によると、「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」は生息する場所が異なるそうです。水路などの水流がある場所に生息する「ゲンジボタル」。そして、田んぼや湿地などの穏やかな環境を好む「ヘイケボタル」。そして種によって光り方も異なります。暗闇になれていなかった時に「一瞬光った気がする」を連発した現象は、「ゲンジボタル」特有の飛び方と発光の強さに理由がありました。
最後に
日中に汗をかき、夜に薄着で自然を散策するとどうなるか。おそらく虫に刺されることでしょう。私は虫に刺されにくい体質なので、無傷で帰還しましたが、枝などでけがをすることもあります。散策に行かれる方は肌を露出しない服装が良いと思います。(虫よけスプレーはNGなのでご注意ください。ホタルも虫の一種です。)鑑賞ルールを守って、ぜひ来年の飛翔シーズン見に行かれてはいかがでしょうか?
今回はプロの写真をお借りしましたが、ホタルの美しい光を画面越しでは100%お届けできません。里山で自然を感じながら、ホタルの雅な光を自身の目で見て体験する。とても贅沢な時間でした。
日中に畔整備ボランティアに参加しましたが、湿地が増えれば来年にはもっと違った景色を見ることができるかもしれません。この景色を後世に残していきたいですね。
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