建設業のCO₂を見える化!積み上げ式CO2排出量算定の仕組みとは?
資材ごとの排出量を積算し、CO2を「見える化」する積み上げ式。東急建設は26品目に絞り自動化と補正を導入し、精度と効率を両立。環境配慮型建築の提案にも活用されています。実践的手法を詳しく解説。
建設業界においても、地球温暖化対策としてCO2排出量の削減が求められています。しかし、建物のように多くの資材が使われ、工事内容が複雑な対象では、「どれだけCO2を出しているのか」を正確に把握することは容易ではありません。「積み上げ式」のCO2排出量算定は、資材ごとに排出量を合算することで、より実態に近い値を導き出せる手法として注目されています。一方で、その作業は煩雑で、精度や効率に課題もあるのが現実です。 この記事では、CO2排出量を見える化する手法として注目されている「積み上げ式」について、基本的な仕組みからその意義、さらには東急建設が独自に工夫を加えた取り組みまでを詳しく紹介します。CO2排出量を正確かつ効率的に算定したい方にとって、有益な内容となるはずです。
積み上げ式CO2排出量算定の基本とその意義
建築業界においてCO2排出量を正確に把握することは、脱炭素社会の実現に向けた重要なステップです。その中で「積み上げ式」という手法が注目されています。これは、建物に使われる資材一つひとつの量に対してCO2の排出原単位を掛け合わせ、合算して排出量を算定する方法です。では、この積み上げ式にはどのような特徴と価値があるのでしょうか。 1.-thumb-706x421-3829.jpg
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積み上げ式とは何か?
積み上げ式とは、使用する各建材の数量を拾い出し、それぞれに設定されたCO2排出原単位を掛け合わせて合計する方法です。例えば、鉄筋やコンクリート、木材など、すべての資材の量を明確にしたうえで、排出原単位(その資材1単位あたりのCO2排出量)をかけて算出します。この方式は、製品単位で排出量を把握できるため、非常に精密な算定が可能です。
概算式との違いと積み上げ式のメリット
概算式は、工事の全体費用に一定の排出原単位を掛けてCO2排出量を見積もる方法であり、手軽ですが精度に劣る側面があります。これに対し積み上げ式は、個別の資材に基づくため、低炭素材料の使用や資材変更といった取り組みを直接反映できるというメリットがあります。すなわち、CO2削減の努力が「見える」形で算定値に表れやすいのです。
積み上げ式が注目される背景
温暖化対策として建物のライフサイクル全体での排出量管理が求められる中、設計段階から排出量を予測し、改善するためには精密なデータが不可欠です。積み上げ式の採用は、建設業における排出量の透明化、すなわちサステナブルな建設活動の基盤となります。政府や自治体のガイドラインでも積み上げ式の必要性が明記されるケースが増えており、今後の主流になりつつあります。
建設業界における積み上げ式の活用事例
すでに多くのゼネコンが積み上げ式の試行に取り組んでいますが、算定作業の煩雑さや原単位の不備といった課題から、運用を断念するケースも見られます。その中で、例えば特定の建材に絞って算定を行う「簡略型積み上げ式」や、社内向けに特化した運用など、各社が工夫を凝らしています。東急建設も2022年度から本格的に積み上げ式を導入しており、次の章ではその取り組みの具体的内容について紹介していきます。
東急建設の積み上げ式CO2排出量算定の特徴と取り組み
東急建設では、従来の積み上げ式が抱えていた課題を克服しつつ、CO2排出量の「見える化」を実現するため、独自の積み上げ式手法を導入しています。精度と効率の両立を目指し、算定項目の厳選、自動化、標準化、補正といった工夫を組み合わせることで、運用可能な実践的手法を構築しています。
26品目の厳選と自動化による効率化
東急建設が特に注力したのは、「数量拾い」における煩雑さの解消です。従来の積み上げ式では、すべての資材を対象に拾い出しを行うため、膨大な作業量と誤差が問題となっていました。これに対し、東急建設では排出量に大きく影響する26品目に対象を絞ることで、必要な精度を保ちつつ作業を大幅に簡素化しています。この26品目は、重量構成の97%以上をカバーしており、拾い出しの効果と効率のバランスが取れています。さらに、見積内訳との連動によって数量拾いを自動化し、作業の属人化を防いでいます。
標準原単位データベースの整備と補正係数の活用
資材ごとのCO2排出量を正確に算定するためには、適切な「排出原単位」が不可欠です。東急建設では、環境省が提供するIDEAv3ベースの原単位を建設用途に最適化し、26品目に対して単位変換済みのデータベースを構築しています。さらに、対象外の品目による影響を補うために補正係数を導入。これは、全体の排出量が概算式と大きく乖離しないよう調整されたもので、算定値の整合性を高める役割を果たします。これらの基盤整備により、積み上げ式の信頼性と実用性を両立させています。
社内での比較・分析と発注者への提案への活用
この積み上げ式手法は、単なるCO2の算定にとどまらず、社内における建物間の排出量の比較・分析や、発注者への提案材料としても活用されています。算定結果を視える化することで、設計・調達段階での改善提案が可能となり、より環境配慮型の建築が実現できます。また、数値によって定量的に示すことができるため、環境意識の高い発注者に対しても信頼性のある説明が可能です。
今後の展望と他企業への展開
現時点では社内運用を中心とする東急建設の積み上げ式ですが、今後は同様の目的を持つ他企業への展開も視野に入れています。算定手法の共通化は難しい課題ではありますが、目的に応じて柔軟に対応できる枠組みとして、東急建設の積み上げ式は高い価値を持ちます。将来的には、建設業界全体での脱炭素化に貢献する共通指標として発展する可能性も期待されています。
建物のCO2排出量を正確に算定するためには、資材ごとの排出量を積み上げていく「積み上げ式」が有効です。本記事では、その仕組みと意義、従来の手法が抱えていた課題、そしてそれらを乗り越えるための東急建設の取り組みを紹介しました。 積み上げ式は、資材ごとの詳細なデータをもとに排出量を算定できるため、低炭素材料の活用や資材選定の工夫が結果に反映されるという特徴があります。東急建設では、この手法をより実用的にするため、対象資材を26品目に厳選し、見積内訳との連動による自動化や、標準原単位データベースの整備、補正係数の導入といった工夫を施しています。 これにより、精度と効率を両立した運用が可能となり、社内での比較分析はもちろん、発注者への具体的な提案にも活用されています。今後は他社への展開も視野に入れつつ、業界全体のCO2排出量削減に貢献していく方針です。 積み上げ式CO2排出量算定に関心がある方は、まずは建築資材ごとの排出原単位を確認し、できるところから取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
当社が考える積み上げ式CO2排出量算定は、添付資料でより詳細に説明しています。
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※1:LCI データベース IDEA Version 3.2国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 IDEAラボ
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