基本的な考え方
建設業が提供する製品は、直接の発注者だけでなくさまざまな方が、数十年にわたり利用する社会インフラです。東急建設はこの社会的責任を果たすために、品質管理のマネジメントシステムを導入、運用しています。
品質方針
当社は、提供する製品(土木構造物・建築物)の品質を保証し、顧客満足の向上を目指すため、その設計、工事監理および施工に当たり、以下を実施します。
1.リスクおよび機会への取り組み
製品の品質の保証および顧客満足の向上に影響を与え得るリスクおよび機会を見出し、その潜在的な影響の度合いを考慮し、対応します。
2.ニーズ・期待の理解
顧客のニーズ・期待、および適用される規制要求事項を満たすために、これらを探究し、明確にし、理解します。
3.品質目標の設定
当社の経営方針を支援し、製品の品質の保証および顧客満足の向上のために効果的な品質目標を次の部門ごとに設定します。
・土木事業部門
・建築事業部門
管理支援部門は、上記の部門の目標達成を支援するための資源(人・情報通信技術等のインフラ・従業員の執務環境・ノウハウ等)の効果的運用に関する目標を設定します。
4.システムの運用・改善
企画・設計・施工・アフターサービスのプロセスにおいて、品質マネジメントシステムを運用し、継続的に改善します。
品質マネジメントシステム(QMS)と運用状況
当社では、2000年10月までに本部ならびに全国の支店で国際規格ISO9001認証を取得しました。2004年9月からは全社統合の品質マネジメントシステム(QMS)で登録しています。また、2005年からは環境マネジメントシステム(EMS)との複合外部審査も毎年実施しています。営業・設計・施工の各段階において、本社部門や支店が品質マネジメントシステムに基づくマニュアルや実施要領に則しているか確認し、PDCAによる継続的な改善活動を実施しています。QMSの要件である内部監査実施のため、監査活動スキルを学ぶ内部監査員資格の取得と、一定年経過後のフォローアップ研修を実施しています。これにより品質向上と不良事象の低減・再発防止を図り、お客様に満足していただける製品やサービスを提供します。
品質マネジメントシステムの運用
品質を支える社内体制・教育・啓発活動
2021年7月に判明しました駅改良工事における基礎杭の先端不良を受け、再発防止に向けた品質管理体制の強化・見直しを行っています。
当社では工事に着工する前に、まず支店・作業所、専門部署等のメンバーにより当該工事の安全・品質管理チェックポイントを複眼的に確認します。現地においては、これら事前に検討された事項を踏まえ、当該工種実施前に施工安全検討会、作業手順周知会、作業打合せといった場を利用して協力会社を含めてQCDSE(※)全般を確認、共有します。施工上の懸案が発生した際には、社内技術部署等と協議した後、次工程に進む仕組みとしています。改めてこのプロセスを徹底するとともに、万が一施工トラブルが発生した場合、情報が経営陣に速やかに共有される体制を見直しています。
作業所に勤務する当社技術員については、経験などを踏まえ適正な人員で構成します。本社・支店部門は技術指導や繁忙期などの人的支援に加え、社内検査など品質確保に関わる体制を見直し、強化しました。
また、マネジャー・ミドルクラスの施工マネジメント能力向上や、若手技術員の技量向上・早期育成に向けた育成プログラムのあり方を継続的に見直しています。具体的には、多様な経験のためにジョブローテーションを行うとともに、必要な基礎知識・スキルの習得状況を記録・可視化する「OJTマスターカード」を運用し、効果的で効率的な教育を意識しています。定期的な研修や日常の会議体における品質管理や瑕疵対応事例の共有や、作業所単位の勉強会「Site-Learning」、業務の段取りを可視化しベテラン社員の経験などを伝承する「ローリングバック」など、品質に対する従業員の意識向上に取り組んでいます。
2022年度からは、啓発活動期間として11月を品質月間、第一週を強化週間と定め、意識向上を図ります。なお、品質問題の未然防止や早期発見・改善を図るため、2022年1月から内部通報制度の利用対象者を協力会社等へ拡大しました。
品質問題の再発防止を徹底し、施工品質の向上と信頼の回復に全社一丸となって取り組んでまいります。
※QCDSE:施工管理の根幹となる、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工期)、Safety(安全)、Environment(環境)、5つの要素の頭文字を取った言葉