基本的な考え方
東急建設では、リスクの顕在化を未然に防止するとともに、顕在化した場合の対処、さらに経営環境の変化に対応するための仕組みを整備しています。
リスクマネジメント体制
環境変化に柔軟に対応するため、事業推進への影響、経営の阻害要因となりうる事象や要因からリスクを網羅的に洗い出し、毎年見直しを行う仕組みとしています。また、安全衛生、環境、品質、コンプライアンス、大規模災害時の事業継続、個人情報等の管理、情報セキュリティ等については規程や規範等を設けるとともに、マネジメントシステムを活用するなど、リスクの発生を未然に防ぎ、発生したリスクに迅速に対応する仕組みを整えています。
事業等のリスク
※第20期有価証券報告書(2022年4月1日~2023年3月31日)
事業等のリスク | 体制・対応 |
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(1) 気候変動や自然災害に対するリスク | 温室効果ガスの大量排出による気候変動に伴い、建設事業や建物ライフサイクルへの政府の規制強化や、サステナブルな調達に対する要請の高まり等への対応が遅れた場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、再生可能エネルギー電力の使用やZEB(Net Zero Energy Building)の推進をはじめ3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした長期経営計画を推進することとしております。 また、気候変動に伴い激甚化する風水害や、地震、津波等により当社グループの従業員や保有資産が被災するリスクに対して、BCP(事業継続計画)に基づいた訓練計画を行う等、BCM(事業継続マネジメント)にも取り組んでおります。 |
(2) 建設市場の動向 | 景気変動による国内建設市場の縮小、資材・労務価格等の急激な変動が発生した場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、市場の縮小に対してはイノベーションによる新たな事業領域の拡大、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。 |
(3) 建設産業の構造変化に関するリスク | 技能労働者不足による供給力の低下等に伴う、建設産業の構造変化への対応が遅れた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、協力会社との連携を強化しつつ、建設現場におけるICTの活用等DXによる建設生産システムの変革、生産性の向上により対応しております。 |
(4) 従業員の確保に関するリスク | 労働人口の減少や働き方の多様化、産業間の人材獲得競争が進む中、従業員への処遇改善や、ダイバーシティ&インクルージョンへの対応が遅れることにより、従業員の確保が困難となり人員不足に陥ることが想定されます。また、それに伴う売上高の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、人材育成の強化により従業員一人ひとりの能力をさらに高め、従業員エンゲージメントの向上によりその能力を最大限発揮するとともに、人事制度改革や働き方改革、さらにはダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、当社の魅力を高めることにより対応しております。 |
(5) 施工瑕疵や品質不良 | 設計、施工における不具合等によりその補修等に多大な費用を要するような重大な瑕疵、品質不良が発生した場合、補修費用の発生による工事採算の悪化や顧客からの信頼喪失による受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、土木・建築各事業本部との組織連携や、品質管理の活動強化を図り、PDCAサイクルを実践する等、当社が定める品質方針に基づき対応しております。 なお、品質問題の発生および重大化を防ぐため、経営者まで速やかに情報共有される体制の整備や内部通報制度の拡大、施工部門における品質管理の再構築、技量向上を目的とした作業所技術員への人材投資の強化、組織風土の改革といった事項にも取り組んでおります。 |
(6) 重大な事故・災害 | 第三者や多数の死傷者を伴う重大な事故・災害の発生及び社会的に影響の大きい工事等における事故が発生した場合、社会からの信頼を喪失し受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、経営トップの関与をより高めた安全管理体制等、当社が定める安全方針に基づき対応しております。 |
(7) 国際事業の展開に伴うリスク | 国際事業を展開する上で、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、本社機能を含むガバナンスを充実させリスクマネジメントを強化することにより対応しております。 |
(8) 感染症の流行に伴うリスク | 感染症の流行が拡大することにより、建設市場の縮小、施工中案件の工事中断等が生じた場合、受注機会の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、感染防止対策を強化・徹底し、関係者ならびに従業員の健康に最大限配慮することにより対応しております。 |
BCM
(事業継続マネジメント)
当社は、発生が危惧される大規模災害に備え、2008年にBCP(事業継続計画)を策定しました。翌2009年に国土交通省関東地方整備局の「建設会社における災害時の基礎的事業継続力」の認定を取得し、以降2年毎に更新しています。
BCPに基づき取締役を含む災害対策本部員が訓練等を行うことで、継続的な課題抽出と改善を図り、BCM(事業継続マネジメント)に取り組んでいます。東急建設グループの各拠点では、飲料・食糧の備蓄、長時間停電に備えた発電設備や非常時の通信機器の整備など、災害発生時においても一定期間は活動できる体制を確保しています。2021年12月には、昨今のテレワーク勤務を前提に、災害対策本部の運営を参集者とリモート参加者のハイブリッド型とした14拠点の参加による全店合同形式で実施しています。
また、本社が日本有数のターミナルである渋谷駅に隣接することから、渋谷区と地域事業者、団体で構成される「渋谷駅周辺帰宅困難者対策推進協議会」に加盟し、地域の一員として災害対応に協力するとともに、2021年12月には、東京都一斉帰宅抑制推進企業の認定を受け、従業員の安全確保と帰宅困難者発生による混乱防止への取り組みを強化・推進しています。
国や地方自治体等の各機関やインフラ関連会社と災害時の協力協定を締結するとともに、協力会社とも連携を図ることで、災害支援道路をはじめとしたインフラの早期復旧に全力を尽くし社会的責任を果たしていきます。
情報セキュリティ
当社は、業務に関連する情報資産を情報漏洩事件や事故などの脅威から守るとともに、社会の発注者の信頼に応えるため、情報セキュリティ基本方針を定めています。また、2022年11月には情報セキュリティガイドラインの改訂を行い、当ガイドラインに基づいたe-ラーニングを実施しています。
情報セキュリティ基本方針(2013年3月31日制定)
- 情報の管理にあたり、情報資産のセキュリティ確保を図るための管理体制を構築し、定期的にその見直しを行うとともに必要に応じて改善する。
- 物理的・人的・ITなどの各側面からバランスよく情報セキュリティ対策を講じ、情報漏洩等の問題を発生させない予防策を実施するとともに、万一の問題発生に対しても迅速に対応する。
- 情報セキュリティ対策の推進について、運営体制を定め、役割と責任者を明確にする。
- 本基本方針ならびに関連諸規程などに対する違反行為に対しては就業規則または契約に基づき明確な責任を求める。
- 本基本方針ならびに関連諸規程などが周知・実行・維持され、かつ、継続的改善が行われることを確実にするため、定期的にチェックを実施し、問題点を明らかにし、これを解決する。