コーポレートガバナンスの基本的な考え方
当社は、東急建設の“あるべき姿(理想とする企業像)”を「存在理念」「経営理念」「行動理念」の3つからなる「企業理念」として掲げ、あるべき姿に近づくために、企業活動を通じて社会に貢献し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでいます。コーポレートガバナンスの強化および充実は、こうした取り組みを進める上での重要な経営課題の一つであり、当社は、常にその改善に努め、効率的かつ実効的なコーポレートガバナンスを追求しております。
また、当社は、「基本的な考え方」を含めたコーポレートガバナンス全般に対する当社のスタンスを「東急建設コーポレートガバナンス基本方針」として定めるとともに、関連する基準等を定めております。
コーポレートガバナンス体制
取締役会
当社の取締役会は、取締役10名(うち社外取締役は4名であり、全員が独立役員)で構成され、取締役は各事業年度の経営責任を明確にするとともに経営体制を機動的に構築するため、任期を1年としております。また、社外取締役は公認会計士および税理士として専門的な見識を持った経営者、専門的な見識および不動産業界での勤務経験を持った弁護士、デジタル・科学技術に関する専門的な見識および技術戦略の策定や新規事業の創出、大型買収等の見識を有する者、信託銀行の業務執行者としての長年の経験と不動産専門シンクタンクの経営者としての豊富な経験および経歴を通じて培われた幅広い見識を有する者を招聘し、議案の審議に必要な意見表明を適宜行うなど、取締役の業務執行の適法性を確保するための強力なけん制機能を発揮しております。
また、原則として毎月1回開催する定例取締役会に加え、必要に応じて臨時取締役会を開催するなど、2023年度は合計16回開催しました。取締役会では法令および定款に定められた事項や株主総会の決議により授権された事項、取締役会付議事項等を定めた社内規定に基づき、経営計画および経営方針の策定等の重要な業務執行について審議の上、決議しております。また、重要な業務執行等の執行状況について適宜報告を受けております。
指名・報酬委員会
取締役会の諮問機関として、筆頭独立社外取締役を議長とし、取締役7名(社外取締役4名、代表取締役2名および非業務執行取締役1名)を構成員とする指名・報酬委員会を設置しております。同委員会は、社長の後継者計画の審議や取締役会の委任決議に基づき取締役の個⼈別の報酬等を審議、決定するなど、取締役等の人事・報酬に関する取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任の強化を図っております。2023年度は合計4回開催しました。
ガバナンス委員会
取締役会の諮問機関として、筆頭独立社外取締役を議長とし、取締役6名(社外取締役4名、取締役社長および非業務執行取締役1名)および社外監査役3名を構成員とするガバナンス委員会を設置しております。
同委員会は、取締役会の実効性に関するアンケート結果を通じて出された課題等について審議するなど、当社のコーポレート・ガバナンス全般の継続的な充実と企業価値向上を図るための提言を行っております。2023年度は合計4回開催しました。
監査役会および監査役
当社の監査役会は、監査役5名(うち社外監査役は3名であり、全員が独立役員)で構成されております。また、社外監査役には専門的な見識を持った弁護士、豊富な知見と経験を持った行政機関出身者および金融機関出身者を招聘し、コンプライアンス経営に則した業務監査機能の強化を図っております。各監査役は、職務の分担等に従い、重要な意思決定の過程および業務の執行状況を把握するため、取締役会や重要な会議への出席、重要な決裁書類の閲覧を行うほか、担当部門等へ業務執行状況について聴取・調査を実施し、必要に応じ子会社等から事業の報告を受けるなど取締役の業務執行を監査し、その結果について取締役へ監査報告を行うこととしております。また、監査役の職務を補助するため、監査役事務局に専任スタッフを配置しております。
会計監査人
2024年3月期において当社の会計監査業務を執行した公認会計士は、山元清二氏、井上裕人氏の2名であり、EY新日本有限責任監査法人に所属しております。会計監査業務に係る補助者は、公認会計士4名、その他31名であります。
執行役員
業務執行における意思決定の迅速化および部門機能の強化を図るため、取締役会は、専任の執行役員29名を選任しており、任期は取締役と同様に1年としております。
経営会議
重要な経営方針や経営課題については、社長を中心に業務執行取締役5名および執行役員3名からなる経営会議を適宜開催することにより、意思決定の迅速化を図っております。2023年度は合計46回開催しました。
コーポレートガバナンス報告書
取締役会の実効性の分析・評価
当社では、コーポレートガバナンス基本方針において、取締役会が適切に機能しているか毎年評価を行い、その結果の概要を開示する旨を定めております。
2023年度は、外部コンサルタントの協力のもと、取締役会の実効性に関する無記名方式のアンケートを取締役会の構成員である全ての取締役および監査役に実施するなど、役員個々の意見を求めやすい方法で実施しました。
アンケートは取締役会の構成・運営・議論の内容、取締役・監査役に対する支援体制、役員トレーニング、株主(投資家)との対話等に関する課題認識の状況および前回アンケートで認識した課題の改善状況を把握することを目的とした内容としております。
以上を通じて出された取締役会の課題等について、筆頭独立社外取締役を議長とし、構成員の過半数を社外役員とするガバナンス委員会で審議を行い、その結果を取締役会において確認し、実効性の評価を行いました。
アンケート等からは、概ね肯定的な評価を得ており、当社の取締役会は、実効性が十分確保されていることを確認しました。また、前回の評価において課題とした取締役会の構成については、ガバナンス委員会において今後の取締役会のあり方について議論を深めるとともに、取締役会の議案の上程方法等については、案件ごとの説明資料を適宜見直すなど改善に向けた取り組みが着実に進んでいることを確認しました。一方、今後改善すべき点として、取締役会上程までの社内における議論の経過についてより詳しい説明を求める意見や指名・報酬委員会において将来の経営人材に係る議論を一層充実すべきとの意見があったため、今後も実効性を高める取り組みを継続してまいります。
役員の選解任・指名を行うに当たっての方針と手続き
取締役および監査役は、優れた人格、見識、能力および豊富な経験とともに、高い倫理観を有している者であり、性別、年齢、技能その他取締役会の構成の多様性を考慮し、過年度の業績・職務執行状況等を踏まえ、取締役候補者および監査役候補者を決定することとしております。取締役候補者は、筆頭独立社外取締役を議長とし、構成員の過半数を独立社外取締役とする指名・報酬委員会の答申を得た上で、取締役会で決定することとしており、監査役候補者は、指名・報酬委員会の答申ならびに監査役会の同意を得た上で、取締役会で決定することとしております。
また、社長をはじめとする取締役および執行役員に解任すべき事情が生じた場合には適時に指名・報酬委員会に諮問し、取締役会は同委員会の答申内容を勘案の上審議を行い、決定いたします。
社外役員の独立性に関する基準
当社は社外取締役および社外監査役を一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立社外取締役および独立社外監査役と判断しております。
社外取締役および社外監査役の要件についてはコーポレートガバナンスに係る方針・基準等をご覧ください。
社外役員のサポート体制
社外取締役に対しては、緊急性、重要性を勘案して取締役会議案の事前説明を実施するなど、情報の伝達および共有を図る体制をとっております。社外監査役に対しては、監査役事務局に専任スタッフを配置し、取締役会議案の事前説明を実施するなど、情報の伝達および共有を図る体制をとっております。
役員報酬・インセンティブ制度
役員報酬を決定するにあたっての方針
当社の取締役の報酬水準は、役位、業務執行状況および従業員の給与水準、第三者機関による国内企業経営者の報酬に関する調査等に基づき決定しており、また、短期業績および中長期的な企業価値向上へのインセンティブを引き出すため、金銭報酬と株式報酬とで構成しております。
金銭報酬には、役位に応じた固定報酬と変動報酬とがあり、固定報酬は、毎月定額を支給いたします。変動報酬は、短期業績達成に向けたインセンティブ強化を目的としており、役位別の基準額に、支給率を乗じて算定し、年2回に分けて支給いたします。また、支給率は支給判断値に応じて0%~200%で変動いたします。支給判断値は、営業利益や当期純利益などの財務指標、GHG排出量削減率や従業員エンゲージメントレーティングなどの非財務指標および実行計画施策達成度または部門業績評価を総合的に勘案して算出いたします。
なお、社外取締役および非業務執行取締役の報酬は基本報酬の固定報酬のみとしております。
株式報酬は、中長期的な企業価値向上へのインセンティブや取締役と株主の経済的価値の一致を目的としており、社外取締役および非業務執行取締役を除く取締役に対し譲渡制限付株式を付与するものであり、その付与株式数は、役位に応じた基準額に基づき毎年取締役会において決定いたします。
取締役の固定報酬、変動報酬、株式報酬の支給割合は、標準的な評価の取締役の場合、6:2:2をおおよその目安としております。
各取締役の金銭報酬額は、取締役の評価および報酬額の決定に関して客観性かつ透明性を確保して行うため、筆頭独立社外取締役恩田勲氏を議長とし、独立社外取締役吉田可保里、腰塚國博および綱島勉の各氏ならびに代表取締役寺田光宏、諏訪嘉彦および取締役柏﨑和義の各氏を構成員とする指名・報酬委員会において決定しております。当事業年度の各取締役の報酬は、指名・報酬委員会(当事業年度は4回開催)において、取締役会で決議した決定方針との整合性を含めて審議の上、支給額を決定しており、取締役会は、その内容が決定方針に沿うものであると判断しております。
また、監査役の報酬は、固定報酬であり、金銭により支給しており、報酬の決定方法については、監査役会の協議により決定しております。詳細は「有価証券報告書―第21期」をご覧ください。
後継者計画
当社社長は以下の資質を備えるものとし、その資質および人材の客観評価に基づき、指名・報酬委員会において後継者候補を審議・選出します。
① 誠実さと高い倫理感を備え、強い好奇心と学習意欲があること
② 立場の上下に関係なく他者の意見を受け止める傾聴力を有すること
③ 最終的に自らの責任で迅速果断に判断し、何事もやり抜く胆力を有すること
④ 環境変化に柔軟に対応し、当社の企業理念・企業ビジョンを実現するとともに「東急」ブランドの価値向上に寄与できること
政策保有株式に関する保有方針
当社は、取引関係を強化し良好な関係を維持することにより、当社の企業価値向上に資することを目的として、取引先が発行した株式を取得・保有いたします。
一方で当社は、個別の上場株式について、毎年、直近年度の実績指標を用いて、資本コストに対し十分な便益が得られているか、株式の価額が減じるようなリスクがあるかを精査し、また、過去数年度の実績指標並びに今後数年度の予想指標を用いて、資本コストに対し十分な便益が得られているかを精査し、定量的な検証を行います。さらに、当社と株式の発行会社との今後の取引関係について、定性的な検証も行います。これらの検証結果を踏まえ、経済合理性や将来の見通し等を総合的に考慮し、保有意義が認められるか否か、毎年、取締役会にて確認いたします。
なお、保有目的をまたは保有意義が認められなくなった株式に関しては、発行会社の事情や市場動向等を勘案したうえで、原則として売却を進め、2030年度までに連結純資産に占める割合を10%以下に縮減します。
株主との対話
当社は、株主・投資家との建設的な対話を推進するための体制を整備するとともに、IRに関する方針を定め、経営に関する必要な情報を適時適切に開示します。また海外投資家に配慮し、必要とされる情報について英語での開示に努めていきます。
株主との対話は、その目的と効果等を考慮し、社長、IR担当役員等が対応方法を検討の上、実施することを基本とし、社外取締役を含む取締役または監査役は、必要に応じて対応します。
具体的には、決算説明会や面談などを通じて投資家との建設的な対話を行うとともに、ウェプサイトなどにおいて適時に投資家に必要な情報を開示しております。また、主要な活動後には総括と課題抽出を行い、必要に応じて外部の支援会社からアドバイスを受けるとともに、取締役会は投資家との対話状況について報告を受けております。