TNFD提言に沿った情報開示

TNFD提言に沿った情報開示

TNFD提言に沿った情報開示

近年、生物多様性の損失や自然資本・生態系サービスの劣化が世界各地で深刻化しており、社会全体のみならず、中長期的な企業経営にも影響を及ぼす懸念が高まっています。当社グループでは、自然資本の損失が事業活動に与える影響を重視し、ネイチャーポジティブに向けた取り組みを推進するとともに、TNFD提言に沿った情報開示の充実を図っていきます。なお、本ページは開示の概要となっています。全文は、以下リンク先よりPDFとしてダウンロードが可能です。

ガバナンス

サステナビリティ委員会では、自社のサステナビリティをめぐる課題をマテリアリティとして定め、これらの取り組みの進捗について協議し、重要な事項について取締役会に報告します。自然関連のリスクと機会についても、サステナビリティ委員会を通じ特定・評価するとともに、取り組みの推進に関する議論を行います。

戦略

当社グループの事業活動にともなう自然資本への依存と影響、およびこれらに起因するリスクや機会を把握するため、TNFDで推奨されているLEAPアプローチを採用しています。
以下では、LEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)の各フェーズにおいて、特にTNFDの四つの柱の一つである「戦略」に関連する、依存と影響、およびリスクと機会の特定・評価について順にご説明いたします。

Locate(発見):自然との接点の特定

依存と影響関係の把握

まず、事業のバリューチェーンを整理し、自然資本への影響が大きい建築事業と土木事業、および建設資材などの上流を対象範囲としました。そして、これらが自然資本(生態系サービス)に対してどのような依存と影響が存在するかを初期的にまとめました。下表の薄緑色着色部が今回の開示範囲となります。

【バリューチェーンの整理】

【事業と自然資本の関係性】

優先地域の特定

地域特性を考慮するにあたり、直接操業地においてはIBATやWRI AQUEDUCTといった各ツールを用いて分析をおこないました。加えて当社独自の観点も必要であると判断し、ワーキンググループで議論を重ね、重要な依存と影響の特定「影響を受けやすい地域」と「重要な地域」を勘案し、総合的に優先地域を特定しています。
「影響を受けやすい地域」と「重要な地域」の両方を勘案した結果、建築工事2件、土木工事5件、里山の保全管理1件の計8拠点を優先地域として特定しました。

【優先地域の考え方】

Evaluate(診断):重要な依存・影響の評価

重要な依存と影響の特定

前段で特定した優先地域内で行っている事業である土木工事(道路工事、鉄道工事)と建築工事(新築)をモデルケースとして、重要となる自然資本への依存と影響を検討しました。

上流においては、調達先地域の特定が難しい状況を踏まえ、木材・セメント・砂・鉄鋼といった対象品目についてENCOREを用いた評価をもとにしました。

【建設資材における自然資本への依存度】

【建設資材における自然資本への影響度】

Assess(評価):自然関連リスク・機会の評価

シナリオの設定

生物多様性や生態系サービスの変化によって生じるリスクと機会が、当社グループにどのような影響を及ぼすかを検討するにあたり、TNFD提言で例示される移行リスクと物理リスクの顕在化度合いの二軸を使用し、シナリオの設定を行いました。

  • 移行リスク:自然資本に対する社会的・規制的関心の高まり。
  • 物理リスク:生態系サービスの劣化や生物多様性の損失の深刻度。

【想定シナリオ】

リスクと機会の評価

当社グループにとって重要であると特定したリスクと機会は以下の通りです。

Prepare(準備):対応策と開示

当社グループにおける具体的な取り組み

自然資本に関連したリスクの低減や機会の創出に向けた具体的な取り組みの一部を、TNFDレポートで紹介しています。

これらの取り組みを通じ、自然環境保全や生物多様性保全に貢献するだけでなく、将来的なレジリエンス強化と新たなビジネス機会の創出を目指します。

リスクとインパクト管理

LEAPアプローチに基づき、当社グループの事業活動にともなう自然資本への依存と影響、およびこれらに起因するリスクや機会を特定しました。これらに対する施策を、各事業の短期戦略に組み込み、取り組みを推進しています。取り組み状況を四半期ごとにモニタリングすることで、リスク管理を行っています。

指標と目標

当社グループにおける自然資本、生物多様性への影響を定量的に観測するにあたり、TNFDに示されるコアグローバル指標を参考にしています。コアグローバル指標との対応は以下の通りです。

No. カテゴリー 指標 実績
C1.0 陸上/淡水/海洋利用・変化 総空間フットプリント
C1.1 陸上/淡水/海洋利用・変化 陸上/淡水/海洋利用の変化範囲
C2.0 汚染/汚染除去 土壌に放出された
汚染物質
  • 土壌汚染対策法を順守した土木・建築工事の監理
  • 土壌汚染調査の元請での受注件数※2020-2023年度実績 土壌汚染対策法の対象となる調査:33件
    土壌汚染対策法対象外調査(条例分含):28件
  • 土壌汚染に関連する資格・経験を有する技術者による支援 土壌汚染の従事技術者数:12人
  • 詳細は以下参照
    https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/environment/biodiversity/investigation/
C2.1 汚染/汚染除去 排水
C2.2 汚染/汚染除去 廃棄物の発生と処理
C2.3 汚染/汚染除去 プラスチック汚染
C2.4 汚染/汚染除去 非GHG大気汚染物質の合計
  • 窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、およびその他の大気汚染物質排出量については以下参照
    https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/esg_data/data/
  • 残留性有機汚染物質(POP)、揮発性有機化合物(VOC)、有害大気汚染物質(HAP)、粒子状物質(PM)については、経済的合理性を考慮しデータ未収集
C3.0 資源の使用/補充 水不足地域からの取水/消費
  • 現在の工事拠点においては国際拠点が水不足地域に該当。
  • 取水・排水についてはデータ収集を開始
C3.1 資源の使用/補充 陸・海・淡水から調達するリスクの高い天然商品の量
追加指標 緑地の創出
  1. 上郷事業管理地
    • 都市計画変更予定区域(約12.5ha)
    • 自然的環境の保全を図るエリア(約19ha)
  2. 里山環境の保全
    • 湿地の整備(約2000㎡)
    • オギ原の創出(約8000㎡)
    • 樹林の整備(約550㎡)