「害虫を寄りつかせない環境づくり」への取り組み
BSETの開発で培ったノウハウをもとに、造園のスペシャリストであるグループ会社の㈱石勝エクステリアをパートナーとして、害虫リスクを設計段階でシミュレーションできる「緑化に伴う害虫リスク表示システム」を共同開発しました。
本システムは、いわば「害を及ぼす昆虫等を寄りつかせない環境づくり」をサポートするもので、「鳥や昆虫を寄りつかせる環境づくり」をサポートするBSETとは逆のコンセプトになりますが、本システムではHEPにおける「質」の評価を「害」の評価に変える形でその基本概念を応用しています。
評価の方法は、まず植生に関するノウハウを持つ㈱石勝エクステリアの協力を得て、対象となる敷地内に植栽する樹種ごとに発生する虫に関する「嫌われる度合い」を「人害」「物害」「イメージ」の3つの要素別にスコア化します。さらにそれらの虫が樹種ごとに発生する「発生度」を重み付けすることで「樹種ごとに生じる植栽リスクの総合スコア」を作成し、その結果を図面上に色分けすることで視覚化します。
また、このシステムの有効性を高めるには、植栽の候補となるできるだけ多くの樹種をスコア化しておく必要があることからBSETとは別に新たな「植物データベース」を作成しています。「緑化に伴う害虫リスク表示システム」については、さまざまな物件に提案しながら実績を積み重ねています。
植栽に関する充実したデータベースをバックボーンとする本システムは、落葉樹等のメインテナンス面にも応用できることから、この方面の新たなシステム開発にも挑戦しています。
「緑化に伴う害虫リスク表示システム」を運用した施工例
「第8回キッズデザイン賞」受賞
「ポピンズナーサリースクール西五反田における緑地計画」
本建物は当社の設計施工物件で、品川区、発注者、運営者と共に都心における保育施設のあり方について検討を重ねた結果、「季節感・好奇心を誘う工夫」「安心・安全な保育施設」をコンセプトに、 地域貢献にもつながる都市型保育施設のモデルケースとなるような設計・施工を提案しました。 「季節感・好奇心を誘う工夫」に向けては施設全体の積極的な緑化を行う一方で、「安心・安全な保育施設」という相反するコンセプトを実現するために、害虫リスク発生の抑制を視野に入れた植栽計画を提案しました。
最終案は、発注者のご希望によりキンモクセイをキンメツゲに、シラカシを果実が楽しめるナツミカンに変更しました。本システムには代替植物についてのデータベースも用意されており、このような発注者のご希望に沿う代替案を即座にシミュレーションすることが可能です。