先入観を排し理を追求することで
実現した新技術

「全ての構造部材を高強度コンクリートで作れば高品質な建築ができる」というのは、いかにも最もらしく聞こえます。しかし「果たしてそうだろうか?」と疑うのが研究者の探究心です。そんな探究心が、高強度コンクリートと普通強度コンクリートを組み合わせる「Two-tone Beam工法」に帰結しました。充分な性能を確保しながら、施工性を向上させることで、建築物の品質をさらに高くすることができます。

業界の常識を疑うところからスタート

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「Two-tone Beam工法」はおよそ10年前に誕生しました。その当時は、コンクリートを用いる建築業界全体として、プレキャストの思想が台頭していた時期です。プレキャストとは予め工場でコンクリート部材を成型しておくことで、現場での作業を減らす工法。中でも、梁の下部をプレキャスト部材として現場に搬入した後に、現場で梁上部のコンクリートが打設される梁は、ハーフPCa梁と呼ばれています。多くの場合、この時の現場打設コンクリートは、工程上の問題から床と同時に打設されますが、梁のプレキャスト部材が高強度コンクリートの時には、構造設計上の理由から現場打設部にも同じ高強度コンクリートが打設されてきました。「果たしてこれは合理的だろうか?」そう疑ったところから、私たちの開発が始まりました。

性能・施工・品質を希求する技術

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一方で、実は床まで高強度コンクリートを用いるのは過剰であるという側面もあります。構造的にはそこまでの強度が求められることが少ない鉄筋コンクリートの床ですが、ハーフPCa梁の施工にあっては、工程上の合理性を優先させるために、梁断面上部の現場打設部と同時に打設されてきました。しかし、現場で高強度コンクリートを扱うには熟練工が必要であり、また物性上初期収縮ひび割れが生じるリスクも伴い、その予防の面でも現場の手間が増えます。そこで、私たちは梁の下部を高強度コンクリートでプレキャストし、梁上部および床を普通強度コンクリートで現場打設する「Two-tone Beam工法」を開発しました。実験によって性能を確認し、現場打設部の普通強度コンクリートの影響をきちんと評価すれば、充分な構造設計ができることを示しました。

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施工性が向上する工法ですので、設計が求める性能を確保するための現場負担も減り、施工品質の確保に有利に働きます。またコンクリートの強度と材料費には正の相関がありますので、現場打設コンクリートの普通強度化はコストダウンに直結します。さらに、使用コンクリートの強度が低くなることでセメントの使用量も減ることを考慮すると、エコ効果といった環境面での貢献も期待できます。 現在までに4件の超高層建築が完成、現在も2件が建設中です。今後は超高層だけではなく、高層建築にも適用していきますので、実績、および上で触れた「確かな性能」「施工品質」「エコ効果」による社会貢献の機会がさらに増えることと思います。

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佐藤 良介

構工法・材料グループ
Two-tone Beam工法

入社後建築現場で施工管理業務を体験した後、構造設計部での耐震診断・耐震補強業務の補助を経て技術研究所に着任。以降、建築構造を専門とした研究開発業務に関わる。

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