TECHNOLOGY

[木造・木質建築を支える技術]

ゼネコンとしての総合力と
20,000棟を超える住宅開発の実績を
さらなる高みへ導く技術開発。
東急建設の技術研究所は、
木造・木質建築の未来を創ります。

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POINT 01

高い安全性を備えた
広々とした大空間

エントランス、食堂、講堂、体育館…。広く大きな空間は、多くの木造・木質建築に求められる要素のひとつです。ポイントとなるのは、スパンと呼ばれる柱と柱の間の距離。その距離が長ければ長いほど、広い空間を実現することができます。しかし、一般的に流通している木材の長さは最大で6メートル。そのため、6メートルごとに柱が必要となります。さらに、6メートル以上の木材は多くのケースにおいて特注品となるため、納期とコストがかかってしまいます。そこで、東急建設のモクタスは構法研究と技術開発により、6メートルの規格流通材で、短納期かつ低コストで中大空間を創出する独自の構法を開発しました。本構法の基本性能を評価するため、実大の試験体を作成し錘を積載した鉛直載荷実験などを通じて、日々性能向上に取り組んでいます。
※ナイス株式会社との共同研究

規格流通材を用いた中空間構造工法の開発における鉛直載荷試験の様子

POINT 02

準耐火性能を有する
木被覆木製柱

建築物に必要な防火性能や耐火性能は、法律によって厳密に定められています。主要構造部の防耐火にかかる工法は、木材を石膏ボードなどで被覆するメンブレン型や、大断面集成材を用いるものなどが一般的ですが、いずれも美観やコスト、納期の面で問題があります。東急建設のモクタスは、それらの問題を解決するための研究に取り組み、準耐火性能を有する木被覆木製柱を開発。この度国土交通大臣の認定(60分準耐火構造)を取得しました。この木製柱は、柱4面の見える独立柱に用いることができます。また、木質被覆材を長手方向に複数枚張ることも可能で、1層分の階高だけでなく吹き抜けに立つ長い柱にも対応できます。公共施設や商業施設、老健施設、学校、共同住宅などの用途が想定され、新築のみならずコンバージョンなどにも利用可能です。

コストダウンと
調達工期の短縮を実現

木質荷重支持部材、木質被覆材ともに一般流通材と特注材のいずれも使用可能で樹種も問いません。製材、集成材のいずれも使用可能で県産材の利用ニーズや幅広い意匠ニーズなどに対応できます。施工に関する適応力も高く木質荷重支持部材の建方が完了している状態で現場にて木質被覆材を張る方法や、工場で木質被覆材を張った柱を現場で施工する方法など、種々の条件に合わせた施工が可能です。木質荷重支持部材に木質被覆材を張る際は、木質被覆材の裏面に接着剤を塗布して木質荷重支持部材に張り付け、木質被覆材の端部を留付材で固定します。木材を組み合わせることによって、木の質感や温もりを低コストで実現するモクタスの60分準耐火構造柱。一般流通材を使用することで大断面集成材を使用する場合と比較してコストダウンと調達工期の短縮を図ることができます。
(特許出願中)

吹き抜けに立つ長い柱にも対応可能

一般流通材、特注材のいずれも使用可能

樹種を問わず、製材、集成材のいずれも使用可能

種々の条件に合わせた施工が可能

POINT 03

RC造に迫る
高遮音二重床システム

木質系建築におけるこれまでの床の遮音対策には、床の重厚化や防振装置の活用などがあります。これらの対策は、材料費や施工手間の増加によってコストが上昇するのみならず、建物自重の増加によって耐震性に影響を及ぼす可能性があり、必ずしも有効な対策とは言い切れません。モクタスの高遮音二重床システム「SQサイレンス50」は、独自開発の乾式二重床と、下階の独立天井を組合わせることにより高い遮音性能を実現し、ウッドデザイン賞2020も受賞しています。本システムは、防振支持脚と二重床床板の振動特性に着目し、両者を最適な組み合わせに調節することで床衝撃時の振動(騒音)を効果的に低減できる条件を明らかにして開発されました。特殊な材料を用いずに正方形状のパーティクルボードと防振支持脚を組合せることで、重量を50kg/㎡以下に抑えた『軽量化』と、対策の難しい重量床衝撃音に対して「LH‐50」、軽量床衝撃音に対して「LL‐35」という『高遮音化』を両立させています。
※ナイス株式会社・淡路技建株式会社との共同研究
(特許出願中)

床衝撃音遮断性能LH-50・LL-35
乾式工法で重機、特殊な工具が不要
50kg/㎡以下の軽量化を実現
床鳴りの防止と良好な歩行感の確保

モクタスの高遮音床技術「SQサイレンス50」 システム概要(断面図)

モクタスの高遮音床技術「SQサイレンス50」 遮音性能

*1 JIS A 1418-2に定める「衝撃力特性(1)をもつ標準重量衝撃源(タイヤ)」による重量床衝撃音遮断性能
*2 木造、軽量鉄骨造またはこれに類する構造の集合住宅に適用する
*3 JIS A 1418-1に定める標準軽量衝撃源による軽量床衝撃音遮断性能

POINT 04

美観を永く保つ
耐候技術

あらゆる天候に晒される建築物は、常に劣化と戦っています。木造建築も例外ではありません。木造ならではの木の現しによる美しい外観を永く保つため、東急建設のモクタスではさまざまな耐候塗料を使用した研究を行っています。耐候塗料を塗った木材を技術研究所の屋上で1年以上外気に暴露し、定期的に色差計で変化を計測しています。また、撥水性、防水性を評価するための実験も重ねています。
※ナイス株式会社との共同研究

θ/2法による防水性実験の様子

SPECIAL INTERVIEW

  • 木造・木質建築は
    世界的な潮流である。

    東京都市大学
    名誉教授 大橋 好光

    2010年に施行された公共建築物木材利用促進法により、我が国における建物の木質化・木造化の動きが広く一般の方々にも知られるようになりました。しかし、木造建築の見直しは以前から始まっており、ヨーロッパを中心とした木造先進国では、住宅以外の建物も木で建てることが当たり前になろうとしています。いくつかの国では10階を超える木造ビルが建てられ、より高層の木造ビルも計画されています。そもそもヨーロッパでは、以前から地球温暖化防止のための木造建築の役割が認識されていました。また、日本では、森林資源がかつてないほど豊富な時代を迎えています。「木を使って森を守っていく」時代になったのです。同法の成立は、地球温暖化防止と豊富な森林資源、この2つが契機となっています。木造建築推進の動きは、世界中で加速しています。

  • 木造建築の性能は
    飛躍的に向上している。

    近年の技術開発により、我が国の木造建築の性能は過去とは比較にならないほど向上しています。特に木造・木質建築を実現するのに重要なのは防耐火性能。その性能向上の流れを後押ししたのが2000年の建築基準法改正でした。それまでは、木は燃える材料だということで、木造では多層の耐火建築を建てることはできませんでした。しかし同法の改正によって、所定の性能を満たせば材料は問わないことになり、技術開発が急速に進んだのです。構造の安全性に関しても、地震で倒壊するのは古い昔の建物で、近年建てられた木造建築の耐震性が高いことは、熊本地震などで証明されています。地球温暖化問題への効果やサスティナブルな社会の実現という観点から、木造建築の役割が大きくなっています。「まず木造で建てられないかを検討する」ことを「Wood First」と言いますが、その時代はもう始まっています。