「RC造やS造に振れすぎた振り子がいまようやくあたり前の状態に振り戻されてきたと思う」
東急建設と産学連携に関する包括契約を結ぶ東京都市大学 大橋教授に「木造建築のいま」を伺った。
中大規模木造建築は世界的な潮流
2010年に施行された公共建築物木材利用促進法により我が国における建物の木質化・木造化の動きが広く一般の方々にも知られるようになりました。しかし、木造建築の見直しは以前から始まっており、ヨーロッパを中心とした木造先進国では、住宅以外の建物も木で建てることが当たり前になろうとしています。いくつかの国では10階を超える木造ビルが建てられ、より高層の木造ビルも計画されています。そもそもヨーロッパでは、以前から地球温暖化防止のための木造建築の役割が認識されていました。また、日本では、森林資源がかつてないほど豊富な時代を迎えています。「木を使って森を守っていく」時代になったのです。同法の成立は、地球温暖化防止と豊富な森林資源、この2つが契機となっています。木造建築推進の動きは、世界中で加速しています。
木造建築の性能は飛躍的に向上
近年の技術開発により、我が国の木造建築の性能は過去とは比較にならないほど向上しています。特に中大規模木造を実現するのに重要なのは防耐火性能。その性能向上の流れを後押ししたのが2000年の建築基準法改正でした。それまでは、木は燃える材料だということで、木造では多層の耐火建築を建てることはできませんでした。しかし同法の改正によって、所定の性能を満たせば材料は問わないということで、技術開発が急速に進んだのです。構造の安全性に関しても、地震で倒壊するのは古い昔の建物で、近年建てられた木造建築の耐震性が高いことは、熊本地震などで証明されています。
「まず木造で建てられないかを検討する」ことを「Wood First」と言いますが、その時代はもう始まっています。

