[環境的意義]
環境保全に対する社会的関心は
ますます高まっています。
木材を利用することで地球環境の保全に
どのような効果があるのかについて
紹介します。
POINT 01
公共建築物等木材利用促進法が定められた目的は、木材利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図り、森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与するためです。日本は、国土の約3分の2に相当する2千5百万haが森林であり、そのうち人工林が約4割を占めています。それらの人工林は、間伐など人の手が加えられることを前提に維持され、管理が行き届かなくなると木の成長は滞り、やがて森林のもつ土砂災害の防止機能や水源涵養機能といった公益的機能が損なわれていきます。荒廃した山林は、生物多様性をも損ねてしまうのです。 現在、森林の蓄積(樹木の幹の体積の総量)は、戦後復興により植林された人工林を中心に毎年増加し、総蓄積は2012年3月現在で約49億㎥となります。特に人工林はこの半世紀で約5.4倍にも達し、2020年時点には、本格的な利用可能期を迎える10齢級以上の人工林が約7割になると見込まれています。適正管理下の森から樹木を伐採して、木材として使用することは、再生可能資源を使用することになります。これは、化石資源使用量を削減することにつながり、持続可能社会の構築にも大きく貢献します。
POINT 02
森林は、空気中の二酸化炭素を吸収し炭素を貯蔵しています。実は、それらを伐採し加工した木材そのものも、同様の炭素貯蔵機能を持っています。建築物等に木材を利用することで吸収した炭素を固定し続けることが可能となり、地球温暖化防止につながるのです。木は、成長期により多くの炭素を蓄えますが、枯れて分解される段階には二酸化炭素を排出してしまいます。だからこそ「植える」「育てる」「収穫する」という森林サイクルの循環が必要なのです。
POINT 03
コンクリートや鉄などの化石資源を使用した原材料よりも二酸化炭素排出原単位が小さいことが木材の特徴のひとつ。他構造から木造に置き換えることによって、二酸化炭素排出量を削減できると考えられています。また、木材はカーボンニュートラル(※)な材料です。木質系廃棄物などをエネルギーとして再利用した場合、化石燃料によってエネルギーを得るよりも、総量として二酸化炭素の排出を抑えることができます。
※木材を燃やして出るCO2は、樹木が成長過程に吸収したCO2と同量であり、環境破壊につながらないという考え方