東急建設

PROJECT @KANAGAWA

逗子市沼間小学校区放課後児童クラブ

放課後の時間を、木の空間で支える
地域の子どもたちの居場所となる学童施設

教育・保育の量の確保と質の向上をめざす、魅力あふれる学童施設が誕生。
逗子市長と設計者へのインタビューを通して、その魅力に迫る。

木の温もりに包まれた学びと遊びの空間

逗子市の新たな学童施設建設は市の未来に大きな一歩を印象づけるものだ。単なる建替えを超え、市のカーボンニュートラルと子どもたちの豊かな育成環境を見据えた野心的な取り組みといえよう。プロジェクトは既存学童施設の老朽化とプール施設の廃止の重なりを基点に、大藪元宏建築研究所の木造建築に対する高い知見と東急建設の施工力により、木の温もりあふれる学童施設を生み出した。

桐ケ谷市長は「時代を経ても価値のある、木の魅力を引き出すシンプルな構造にしたいという思いがありました」と強調し、背景にある材木業界での経験がその考えを裏打ちする。木材の自然な温もりや、時間が経過するごとに増すその美しさを重んじ、逗子市の子どもたちに最良の環境を提供することを目指す市長の情熱は、施設の至る所に反映されている。同時に建築物の質感にもこだわり、木の持つ経年変化の価値を市民に理解してもらいたいと願っているようだ。

竣工した施設について語る市長の言葉からは、木材を活用することの環境への貢献と子どもたちの感性を育む空間としての学童施設の役割への強い信念が伝わってくる。

床高に変化のある「まなび場(66.25㎡)」。
同施設の外観。

カーボンニュートラルと木造建築の役割

桐ケ谷市長は「木材使用がCO2固定化の一助となることは間違いありません。そういう意味で木造建築はカーボンニュートラルの実現に向けて貢献していると思います。将来は4階建てくらいの施設も木造化するでしょうが、もう少し情報が蓄積されなければ」と公共施設の木造化に慎重な姿勢を見せつつも、将来的な可能性には積極的だ。

また東急建設に対する印象を伺うと「木造の公共施設も手がけるのかとびっくりしました。木造専門の部署があることも知りませんでしたし。でも私にとってはすごく身近な会社ですから間違いないものを仕上げてくれるだろうとは思っていました」と、その専門性と実績から価値ある施設の完成を信じていた。

3個所に設置されている中で、もっとも大きいデッキ。
逗子市長 桐ケ谷覚さん。

子どもたちの夢を育む木造の大空間

同施設の設計には木造建築への敬意と革新が息づく。設計監理を手掛けた大藪さんの設計哲学は日本古来の建築からインスピレーションを受けつつも、現代の生活様式に調和させることだ。

例えば10メートル四方の大空間を柱なしでどう実現するか。この空間づくりにおいては、一般の住宅建築で用いられる規模の木材(製材)を使用し、それを最大限に活かす設計を行った。具体的には240ミリまでの梁と、それに対応する120ミリ角の柱を用いて空間を支えるトラス構造を採用している。斜材を組み込むことで構造的な強度を確保しつつ、視覚的にも包容感を与える要素として機能させているのだ。

この斜材は床から直接上に伸びていたり、壁から突き出ているものもあり、壁から出ている部材は後方に隠れた支持材がさらに力を分散させる役割を担っている。こうした設計により大空間を実現しながら、安全性と機能性を高めた。

2つのDENが付設された「あそび場(100.20㎡)」

「この空間は構造が意匠に直結しています。構造設計のパートナーの方の能力も大きいですね」と大藪さんは構造をシンプルにするのに苦心したと語る。

またプロジェクトの初期段階で大藪さんは逗子市の保育課と協力し、子どもたち自身に施設で何を望むかを直接聞くためのワークショップを開催した。このワークショップには小学1年生から6年生までが参加し、自分たちの理想の遊び場や学び場について具体的なアイデアを出し合った。この施設の設計にはそうした子どもたちの声が大きく反映されている。施設内には子どもたちが自分だけの隠れ家とする小さなスペース「DEN」があり、プライベートな時間を過ごすことができる。また床面の段差を利用し、集中して学習したり、本を読んだりするための静かなスペースも提供されている。日常の学校生活とは異なる非日常的な体験ができる「サードプレイス」としての役割を担い、開放的な空間設計によって子どもたちの自由な発想と創造力を育む場となっている。

株式会社大藪元宏建築研究所 代表取締役 大藪元宏さん。

逗子市沼間小学校区放課後児童クラブ

所在地
神奈川県逗子市沼間
構造・規模
木造地上1階建て
延床面積
403.66㎡
工事種別
新築
竣工年月
2024年3月