東急建設

東急田園都市線駒沢大学駅西口1ビル(右)・同2ビル(左)。

PROJECT @TOKYO

駒沢大学駅西口2ビル

駅前に生まれた、新しい木造商業ビル
駒沢大学駅西口に立つ都市型木造建築

日本初の耐火・構造技術を導入した
木造駅ビルへの挑戦―その舞台裏に迫る。

木造建築の未来を発信する駅ビル開発プロジェクト

「Green UNDER GROUND」は開業48年が経過した東急田園都市線地下駅5駅(池尻大橋駅、三軒茶屋駅、駒沢大学駅、桜新町駅、用賀駅)のリニューアルプロジェクトだ。これまで以上に安心・安全・快適・便利でサステナブルな地下駅を目指しており、駒沢大学駅のリニューアルはその第1弾のプロジェクトである。同駅のリニューアルコンセプトは「UNDER THE PARK」が掲げられ、都立駒沢オリンピック公園の最寄り駅にふさわしい地域に開かれた地下駅が実現した。

プロジェクトを担当した東急電鉄の榎さんは「私たちにとってもこれほど大規模な地下駅のリニューアルは初めてでした。サステナブルというキーワードを、いかに具体的なカタチで社会に届けるかが大きな課題でした」と語る。

同駅西口の駅前商業地域は防火地域に指定されており、こうした条件下では耐火建築物としてRC造や鉄骨造でビルを建てるのが一般的だ。しかしプロジェクトチームはあえて木造化に挑戦する道を選んだ。その背景について東急電鉄の塚田さんはこう語る。「木造ビルを普及させるには、まず難しい場所で成功事例をつくることが大切だと考えました。駅前という人目に触れる場所だからこそ、社会に与えるインパクトも大きいのではないかと」。サステナブルな建築を制約のある都市空間でどう実現するか。こうしたビジョンの実現には、構造、法規、施工といった多層的な課題に対する丁寧な検証と挑戦が伴っていた。

右から東急電鉄株式会社 鉄道事業本部工務部 設備プロジェクト課(計画・PR担当) 課長補佐 塚田麻由美さん。東急電鉄株式会社 鉄道事業本部工務部 設備プロジェクト課(施工管理担当) 課長補佐 榎千佳さん。株式会社交建設計 設計本部 建築設計部 設計主任 栃倉範子さん。UDS株式会社 COMPATH マネージャー 佐藤弥生さん。

鉄骨造から木造へ プロジェクトの舞台裏

当初は建物の規模や立地より、疑いなく鉄骨造の方向性でボリューム検討を進めていました。基本設計が進んだ段階で、東急電鉄さんから木造に挑戦したいという話があり、それからどの様な壁があるのかを一つずつ調べ、皆で議論を重ねていきました。(栃倉さん)

当時、ウッドショックの影響により資材価格が高騰していた中で、木造化をどう進めるかは慎重な判断が必要でした。ただ、補助金制度などの後押しが見つかったこともあり、東急建設さんにも参画してもらい技術面も含めた本格的な検討を始めました。(榎さん)

防火地域における一定規模以上の建物は、柱や梁を耐火被覆材で覆う必要があり、せっかく木造にしても木構造が隠れてしまいます。

また、店舗や事務所等を主とする建物は、低層が外周部に対して開放されていること、プランの可変性等が求められますが、木造は一般的に外周部にブレースや耐力壁が発生します。本建物では、LSB接合による二方向ラーメン構造を採用し、主要な柱や梁には、木材のみにより構成され、薄く、現地でも取付可能なLVL耐火被覆材を設置しています。

東京都が主催するウッドシティTOKYOモデル建築賞の「女性活躍賞」を受賞した4人。受賞者は、計画や設計、デザイン、施工管理と各段階において、女性リーダーとして活躍している。

都心部の耐火木造建物として一つの成功事例をつくり、木造の可能性を社会に伝えることを意識して取り組みました。(栃倉さん)

人通りの多い駅近くでかつ、首都高沿いという制約のある立地条件からクレーン作業については夜間施工を中心に計画を行い、安全にかつ、効率的に作業が進められるように計画しました。事前にできるだけ工場で部材を加工し、現場では短時間で組み上げられるよう工夫しています。(榎さん)

デザイン面では木というテーマを軸に「UNDER THE PARK」のストーリー性を大切にしています。葉が連なるツリーのような外装や、木の中に入り込んだような温もりのある内装をデザインしました。階段室は上階に登っていくほど緑のグラデーションが少しずつ濃くなっていきます。(佐藤さん)

通常は完成後に内覧を実施しますが今回は上棟時にも見学会を開き、木造の構造や魅力を実際に見ていただく機会を設けました。さらに建設中の様子や関係者へのインタビューを撮影し、InstagramやYouTubeなどで発信するなど、工事プロセスそのものをPRする工夫も行いました。

私たちのプロジェクトはまだまだ続くので引き続き注目いただけると嬉しいです。(塚田さん)

駒沢大学駅西口2ビルの2階店舗区画。
同ビルの廊下。
同ビルの4階休憩室。

駒沢大学駅西口2ビル

所在地
東京都世田谷区上馬4丁目4-1
構造・規模
地下鉄筋コンクリート造2階、地上木造4階建て
敷地面積
81.18㎡
延床面積
346.80㎡
工事種別
新築
竣工年月
2024年6月