渋谷区立北谷公園
公園を都市の拠点に変える木質化
Park-PFIが生んだ新しい公共空間
渋谷区立北谷公園がPark-PFI制度を活用してリニューアル。
木質化した公園施設を中心にまちの賑わいを生み出している。
地域活性化の新たな拠点として生まれ変わった北谷公園
2021年4月、Park-PFI制度を活用した都市公園が渋谷区神南に開園した。Park-PFI制度とは都市公園において飲食店や売店等の公園施設を整備し、管理・運営まで行う民間事業者を公募で選定する制度だ。公園施設から得られる収益を公園整備に還元することで管理者の財政負担を軽減し、都市公園の質や公園利用者の利便の向上を図る新たな整備・管理手法として注目を浴びている。例えば、特例措置の適用により建ぺい率が緩和され、北谷公園では、広場や植栽、ベンチ、照明が再整備された他、新たに地上2階建ての建物が建設されている。注目したいのは、国産木材(多摩産材)を活用し、表層の木質化を図っていることだ。木材を柱や梁にルーバーとして取り付けて他の公園施設にはない特色を生み出し、公園の顔として存在感を高めることに成功している。
アクティビティファーストで考え都市の風景に木の温もりを付加
同公園は「YOUR CANVAS PARK/公園で描く自分色」というコンセプトを掲げ、交流と発信の場を目指している。開園時に予定していたイベントは新型コロナウイルス感染症の影響で中止されたが、2021年11月に「JINNAN MARKET/公園がセレクトショップになる2日間」を開催し、2日間で4千人を動員した。
「通常の公園管理は、植栽管理や清掃管理が中心ですが、北谷公園は公募の提案時から公園施設を核とした積極的なイベント実施を想定していました。人のアクティビティを中心に発想して、風景の一部として建物を検討していた際に、木の持つ自然な色味や和やかな空気感がとてもしっくりきたんです。用途地域上、耐火構造が求められていましたから、構造を鉄骨として表層の木質化を図りました」と西嶋さん、吉永さんは当時を振り返る。
公園施設に見る、木材の展望
西嶋さんと吉永さんは、北谷公園の指定管理者「しぶきたパートナーズ」の代表企業、東急の担当者として公園のリニューアルに携わっている。お二人にそれぞれ所属する部署の視点から木造・木質建築の展望について伺った。
「ここ1〜2年は、新しい開発案件や建物の大規模改修プロジェクトを担当する部署から、木を使用したいという相談が増えてきています。技術部門としては、そうした要望に応えていくために、知見を強化しているところです。例えば、自然素材だからこその経年変化やメンテナンスコストは気になるところです。北谷公園では、不具合が出た部分だけを交換できるよう仕上材としてルーバーに木を使用しました。木の風合いを前面に押し出すために浸透性塗料で防腐処理を施して質感を保っています」と吉永さん。
続いて西嶋さんは「私は公民連携を推進する部署に所属しています。北谷公園のようなプロジェクトは、地域社会の共感が得られないと前に進みません。そういう意味で自然との調和は、今やプロジェクトに欠かせないファクターとなっています。個人的には今後、公民連携の取り組みを事業に昇華していく上で、木や植物がキーワードになってくると考えています」と語ってくれた。木造・木質建築がメインストリームになる日が近づいている。
補佐 西嶋健太郎さん(写真右)と同事業部 建築技術
グループ 吉永ほのみさん(写真左)
※ソーシャルディスタンスを確保してインタビューしています。
