東急建設

PROJECT @TOKYO

東急池上線池上駅

門前町の記憶を受け継ぐ木の駅舎
地域の顔となる駅空間の再生

駅舎改良と駅ビル開発が同時に行われた東急池上線「池上」駅。
門前町らしい演出と木が共演する温かい駅づくり。

列柱で力強く大庇を支え、まちに大きく開いた象徴的なデザインの池上駅北口。

歴史ある門前町「池上」の名にふさわしい駅の改良工事

東急池上線「池上」駅には、東急線で最後の構内踏切が存在した。東急は通勤ラッシュ時の混雑や車椅子・ベビーカー利用者等の安全上のリスク解消を目的に、橋上駅舎と駅ビルの開発を計画。三年半の歳月をかけて工事を行った。近年、同線では「木になるリニューアル」と銘打った駅舎の改良工事が相次いでいるが、池上駅もその流れを組み、木質化を図っている。

池上は約740年の歴史をもつ池上本門寺の門前町として栄えてきた街だ。毎年10月11日〜13日にかけて行われる法要行事「お会式(おえしき)」には、同線を利用して全国から約30万人の人々が訪れる。地域密着型の生活路線を代表する池上の街は、期間中、万灯練供養による灯りに包まれる。こうした背景から、「歴史・人・まちをつなぐ駅」が計画のコンセプトに据えられた。

駅改札に向かう2階コンコース。両側の商業施設は「池上仲見世」として参道の雰囲気を演出している。

木を活かすことが池上線のアイデンティティ

生まれ変わった池上駅北口は池上本門寺の玄関口だ。出入口には万灯をモチーフとした列柱や街に開いた大庇が設けられ、駅と街との一体感が醸成されている。木造駅舎であった旧駅舎の歴史を継承して、壁や天井は木片を練り込んだ材料で仕上げられている。2階自由通路(コンコース)においても参道との繋がりが意識され、通路両側に小庇が設けられ仲見世感が創出されている。

「駅ホームにも池上線の特徴である木材を活用しました。多摩産の杉材で壁・天井を覆い、温かい雰囲気を生み出しています。壁面と一体化して再現した旧駅舎の木製ベンチは、古くから地元の方々に使われていましたので、愛着を感じていただけているようです。駅と同じように、新たに開発した駅ビルの共用部にもできるだけ木材を活用しています」と鈴木さん。

エトモ池上の4階共用部。木材がふんだんに活用されている。

木の記憶を継承する地域連携 みんなのえきもくプロジェクト

今回の改良工事では、工事期間中から地域連携にも力を入れて取り組んできたという。4回実施されたイベント「みんなのえきもくプロジェクト」も地域連携のひとつだ。

「まず最初に地域にお住まいの方々と旧木造駅舎の古材を再利用した椅子づくりを行いました。歴史ある駅の記憶を地域の方々に継承したいと考えたのですが、ホームページや駅ポスターでイベントへの参加を呼びかけたところ約270人の応募があり反響の多さに驚きました。こうした地道な活動を続けてきた甲斐もあり、地域の方々に新駅を愛してもらえるようになったと思います」と三本杉さん。「駅の開業時に伝言板を設置したら『おめでとう』『良い駅だね』など、地域の方々からたくさんのメッセージをいただきました」と鈴木さんは当時を振り返る。また、個人参加のイベントとは別に郵便局や信用金庫などと連携してベンチづくりも行っている。製作したベンチは地域の方々の目にふれやすい公共施設などに設置されているそうだ。循環型社会が叫ばれる今、リユース文化の普及に貢献する「えきもくプロジェクト」は、池上線以外の東急線沿線の施設にも展開しはじめているという。

「みんなのえきもくプロジェクト」のイベントに参加した方々の集合写真。
駅の開業時に設置した伝言板に書き込まれたメッセージ。
エトモ池上の4階共用部に設置されたベンチ。橋上駅舎の利点を活かして電車を眺めることができる。
池上駅2番線ホーム(雪が谷大塚、旗の台、五反田方面)。壁・天井が多摩産の杉材で覆われている。
同駅ホームに新設された壁面一体型の木製ベンチ。
東急株式会社 沿線開発事業部 開発第一グループ 大田・品川担当 三本杉美智さん(写真右)と東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 工務部施設課 主事 鈴木稔さん(写真左/当時)
※ソーシャルディスタンスを確保してインタビューしています。

東急池上線池上駅 駅舎改良・駅ビル開発

所在地
東京都大田区池上
構造・規模
鉄骨造地上5階建て
敷地面積
3,595.36㎡
延床面積
9,547.62㎡
工事種別
改修・改良および新築
竣工年月
駅舎:2020年7月・駅ビル2021年3月