#03 パークタワー東中野グランドエア
introduction
大正9年(1920年)に創業し、昭和10年(1930年)に東京初の結婚式場として開業した「日本閣」。2005年には「West53rd 日本閣」としてリニューアルが行われましたが、2020年に惜しまれながら閉館となりました。
長い歴史のある日本閣の跡地に、地上25階建てのタワーマンションを計画した当プロジェクト。隣接敷地には当社が過去に設計・施工したタワーマンション2棟が建っており、3棟目となる本建物の計画にあたってはそれらと一体的な街並みを形成できるように配慮を行いました。
information
- 工事名
- 中野区東中野5丁目計画
- 所在地
- 東京都中野区東中野5
- 用途
- 共同住宅
- 規模
- 地下1階 地上25階
- 敷地面積
- 2,047.35㎡
- 延床面積
- 15,477.30㎡
採用技術・サービス
- BIM検証
- ZEB
- BELS
- 感染症対策
architect
-
意匠設計
渡部陽介
-
構造設計
村上弘幸
-
電気設備設計
渡辺正人
-
機械設備設計
井沢佳
chapter
01
プロジェクトアウトライン
本プロジェクトは、既存のタワーマンション2棟に加えて、今回3棟目となる「パークタワー東中野グランドエア」を建設するプロジェクトです。
既存の2棟とコンセプトや意匠の統一を計りながら、既存樹木の保存や、近隣スペースの確保など、周辺環境への配慮を行いました。
-
100年の伝承を引き継ぐ意匠
隣接する「パークタワー東中野」「ユニゾンタワー東中野」の設計・施工の実績や、その他の物件への実績を鑑みて、当社に内定をいただいた当プロジェクト。
既存の2棟は、およそ100年で約11万組が挙式をあげたという日本閣の歴史を、ウエディングをイメージした意匠で表現しています。3棟目の今回も、その場所がかつて結婚式場であったことをイメージさせるような要素を各所に盛り込んでいます。エントランスは、チャペルを模したアーチ状のデザインとし、外観のトップには、花嫁のティアラを思わせるデザインのモニュメントを設けています。
-
かつての姿を思わせる緑化計画
元々敷地内にあった既存樹木については、樹木医による調査を行い、健康な樹木を残す計画としました。外構には植栽を多く設けており、日本閣時代の日本庭園の面影を感じさせるような緑豊かな環境を実現しています。メインエントランス前には、中野区の保存樹木に指定されている「スタジイ」があります。この木は日本閣時代から近隣の方に愛されており、今回の計画では、シンボルツリーとして保存する計画としました。
-
chapter
02
敷地を最大限に活用するための配棟計画
本建物は、都心の駅前という好立地ということもあり、敷地条件の制限や、日影規制に配慮した計画が求められました。様々な検討を行った結果、南側に高層の住宅棟を配置する計画とし、平面的にラグビーボールのような形状にすることで、敷地の容積率を最大限有効活用しました。
-
敷地の制約がある中で、高層マンションを成立させるための構造設計上の工夫
住宅棟はアスペクト比(建物の幅に対する高さ)が大きく、文字通りタワーのような形状で、構造的に成立させるのが非常に難しい案件でした。
アスペクト比が大きい建物は、地震や風により建物に揺れが生じやすくなるため、制振構造を採用して、揺れを吸収しやすい建物となるように配慮しました。
また平面的にラグビーボール状の形状をしており、コーナーの柱が台形や多角形となることも、設計を難しくする要因でした。
配筋納まりの検討を入念に行い、建物として成立するように部材断面の調整を行いました。
-
高層・プレキャスト工法のモデルケースに
当プロジェクトは高層で、基準階の繰り返しが多いため、柱・梁・スラブにプレキャスト工法を採用しています。プレキャスト工法はあらかじめ工場で製作した部材(ピース)を現場で積み木のように組み立てる工法で、全ての部材を現場で組み立てる在来工法と比べると、現場での工期を短縮できます。工場での部材製作・現場への運搬・組立がしやすいように、設計段階から作業所と打合せをしながら進めました。
現在、当社の他プロジェクトでも、当プロジェクトの納まりを参考にしたいという声を多く聞いております。
-
p r o j e c t f l o w
-
01
基本計画・
基本設計 -
02
実施設計
-
03
新築工事
-
04
竣工
-
05
モニタリング
chapter
03
断熱性能の向上・省エネ設備の導入でZEH-Orientedを取得
当プロジェクトでは、環境に配慮し、ZEH-Orientedの取得を行っています。
-
省エネ化で、建物自体の価値を高める
ZEH-Orientedの取得を行うために年間に消費するエネルギー量を20%以上削減する必要がありました。標準的なマンションに比べて断熱材を厚くする、窓の気密性を向上させる、省エネ型の空調機を導入するなどの対応を行いました。
環境にやさしく経済的なマンションになったことで、建物自体の価値も高められました。
epilogue
先人の育んだ文化を継承し、未来へと繋げる建物を
2024年に竣工した当プロジェクト。
困難なこともありましたが、竣工時には事業主様から、設計監理に対して感謝状を頂くことができました。
設計を進めるにあたり、基本設計時から、着工するまでは、週に1度、2時間ほど、対面で社内打ち合わせの時間を設けていたというプロジェクトメンバー。時には、各部門間での要望がかちあってしまう部分もあったと話しますが、まずはダメ元でも相談をすることでより良い解決方法を見出すことができたと思い出話に花を咲かせます。互いに本音ベースで話し合うことで、コミュニケーションが密になり、結果として図面の不整合を減らすことができ、プロジェクトをスムーズに進行できたと振り返ります。
日本を代表する結婚式場の跡地で、その歴史を未来へ受け継いでいく。連綿と受け継いできた伝統や文化をどう守り、新しい風をどう取り入れるのか。その最適解を求めて、事業主、設計・監理、作業所が三位一体となり、次世代につづく建物を建てることができたプロジェクトとなりました。